【企業】株式会社リコー様|半年間で720時間の工数削減、声を経営資源に変える新生ワークショップルーム|IntelliMix Room Kit

“経営者や従業員の「声」は経営資源です。ワークショップで行われる白熱した議論や対話を的確に収音することで、正確にデジタル化し、経営資源として活用できるようになるのです”
株式会社リコー RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO General Manager 菊地 英敏氏
お客様プロフィール
◎導入事業者
株式会社リコー
事業内容:デジタルサービス、印刷および画像ソリューション
https://www.ricoh.co.jp/
◎導入場所
導入場所: RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO ワークショップルーム
竣工日:2025年9月
課題
RICOH BIL TOKYOでは、ワークショップの運営や進行が煩雑で、半年間で720時間もの工数がかかっていました。参加者も付箋紙に課題を書き出すなど事前準備に時間がかかり、本質的な議論が始まるころには疲弊してしまいます。RICOH BIL TOKYOでは、こうした労力を解消するため音声のAI活用を推進。2025年9月にリニューアルしたワークショップルームでは、リモート会議を含めたAV設備の強化が図られました。
ソリューション
リコーは、Microsoft Teams Rooms対応の「IntelliMix Room Kit」を採用しました。シーリングアレイスピーカーホン「MXA902」を中核に、音響プロセッサー内蔵ミニPCやカメラ、操作用タブレットがセットになっており、相互接続性が確認されているため選定・導入が容易です。MXA902はマイクを意識することなく、小声すら的確に収音し、ハウリングも発生しません。クリアな音声データを音声認識AIへ投入することが可能です。
効果
ワークショップの準備工数は大幅に削減されました。参加者の声はリアルタイムにテキスト化され、AIが自動的に整理してくれます。リモート参加者を含めて議論に集中し、その結果(声)を経営資源として活用できるようになります。ワークショップの参加者は、マイクが見えないこと、収音性の高さ、音声のAI活用というさまざまな驚きを得ることができます。経営層からも実務担当者からも高く評価され、積極的に投資しようという声が大きくなっています。
【スペシャルインタビュー】
ワークショップ改革、煩雑な準備と参加者の苦労の解消へ
1936年に創業したリコーは、1977年に「オフィス・オートメーション(OA)」を提唱した企業としてもよく知られています。同社は2024年2月、価値共創拠点「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO」(以下、RICOH BIL TOKYO)を品川に移転し、大幅な拡張をもってリニューアルオープンしました。
「RICOH BIL TOKYOは、企業の経営層を対象としたエグゼクティブ・ブリーフィング・センター(EBC)です。お客さまの経営課題の解決を登山にたとえ、私たちは『シェルパ』として共に山を登っていきます。年間400社ほどの来場があり、リコーグループのデジタルサービスを活用しながら、業務改革や構造改革を実現する場所です」と、RICOH BIL TOKYOのGeneral Managerを務める菊地 英敏氏は説明します。
RICOH BIL TOKYO General Manager 菊地 英敏氏
菊地氏によれば、リコーのデジタルサービスは3つのポイントで強化に注力しています。業務プロセス改革を実現する「プロセスオートメーション」、働く場所での体験価値をアップデートする「ワークプレイスエクスペリエンス」、そしてハードウェアやソフトウェアをつなぎ合わせる「ITサービス」です。これらを組み合わせた戦略オプションを経営者に提示し、共に実践していくのがRICOH BIL TOKYOの役割です。
2025年9月、RICOH BIL TOKYOに「ワークショップルーム」がリニューアルされました。ノーコード生成AIアプリ開発ツール「Dify」とホワイトボードツール「Miro」を組み合わせた論点整理の自動化や、“アルフレッド”という愛称のバーチャルヒューマンとの対話など、最先端のAI技術を活用したワークショップを体験できるスペースです。
この新設の背景には大きな課題がありました。RICOH BIL TOKYOでは従来からワークショップを開催していましたが、運営や進行が煩雑で半年間で720時間もの工数がかかっていたのです。
「ワークショップの参加者に課題を付箋紙に書きだしてもらい、グループ分けし、それらをクラスタリングするといった事前作業に1時間以上かけていました。本質的な議論が始まるころには疲れてしまいます。これではクリエイティブなワークに集中できません」(菊地氏)
こうした工数を半減させる工夫として、鍵となったのが「音声」のデジタル化です。そこで新しいワークショップルームでは、「空間との対話」というコンセプトのもと、参加者が発言した言葉がリアルタイムにテキスト化され、自動的にAIが分析・整理していきます。もし議論が滞れば、「アルフレッド」が論点を可視化して議論を促進するためのアドバイスをくれます。参加者の声が、AIを介して価値へと変換されていくのです。
ワークショップの様子
議論の声をデータに変え、AIで整理・活用し、さらに創造的な議論を生み出すというサイクルを実現するためには、「音声品質を妥協するわけにはいかなかった」と、菊地氏は述べています。
導入しやすく、議論を促進、AI活用にも効果を発揮する音響システム
新しいワークショップルームに求められる音響システムの要件は明確でした。参加者の議論を妨げない設計、高精度な音声認識を実現する収音性能、そしてハイブリッド会議へ容易に対応できることです。
「創造力をかきたてる環境では、ツールが主張しすぎてはいけません。しかし一方で、高品質なWeb会議やAI分析を実現するため、性能・機能は一流でなければなりません」(菊地氏)
RICOH BIL TOKYOでは、以前からShureのシーリングアレイマイクを活用しており、その収音性能・音声品質の高さを十分に理解していました。
最終的にリコーが選択したのは、シュア・ジャパンの「IntelliMix Room Kit」です。マイクとスピーカーが一体化されたシーリングアレイスピーカーホン「MXA902」を中核に、音響プロセッサー搭載ミニPCやカメラ、操作用のタブレットが統合されたセットとして提供されています。
IntelliMix Room Kitはスピーカーホン、カメラ、ミニPC、タッチパネルなど、Microsoft Teams Roomの構築に必要なものがすべて含まれる。
天井に埋め込まれているMXA902は視界に入らず、マイクを意識する必要がありません。多数の小型マイクが内蔵されており、話者の位置を的確に捉えて小声すら確実に収音し、音声認識AIへクリアな音声データを送り込みます。内蔵スピーカーはマイクと近いにもかかわらず、ハウリングが発生しないようにプロセッサーが高度に自動調整してくれます。そのためリモート参加者とも自然に会話できるのです。
「どこで音を拾っているのかと不思議に思い、天井マイクに驚く方も多いですね。内蔵スピーカーから、リモート参加者の声が自然に降ってくることにも感心されます。ワークショップへ投資しようという考えを呼び起こす"驚き"こそ、私たちが提供したいものなのです」(菊地氏)
天井に設置されたMXA902
IntelliMix Room Kitは、Microsoft Teams Rooms用システムとして認定されています。そのため一般的なAVのセットに付きものの複雑なインテグレーションや煩雑な互換性テスト、細かで高度な調整も不要です。
「当社はマイクロソフト製品も幅広く提供しており、Teamsも重要なソリューションの1つです。ハイブリッド会議が企業文化として定着した今、AV環境を整えることも重要な施策の1つです。IntelliMix Room Kitはすばやく導入して利用を開始でき、トラブル対応も容易というメリットは非常に重要なのです」(菊地氏)
菊地氏は「RICOH BIL TOKYOの設備は一級品を選びたい」と強調します。もともとリコーは、多様な製品を自社で徹底的に実践し、その投資効果を具体的に示してから顧客へ提案するという文化を持っています。
菊地氏は、「中途半端なものに経営者は投資しません。私たちは"一流の音"への投資が、重要な経営資源であるヒトへの投資になるということを示したい。だからこそ、Shureのソリューションを選んだのです」と高く評価しています。
声は重要な経営資源、新しい働き方の定義へ向けたRICOH BIL TOKYOのチャレンジ
新しいワークショップルームの稼働後、準備工数は大幅に削減され、IntelliMix Room Kitの高度な音響技術が活発な議論や検討を強力に支援しています。
RICOH BIL TOKYOには毎日多数の訪問者が訪れ、ワークショップも予約でいっぱいの状況です。経営者層はワークショップのコンセプトやAI活用に注目し、総務やファシリティの担当者は設備の実用性や導入のしやすさに関心を持つことが多いようです。
RICOH BIL TOKYOには、オフィスをリニューアルしたい、移転したいという企業の担当者も多く来場されます。IntelliMix Room Kitは、天井にマイク+スピーカーを設置することで配線が少なく済む点や、Teams Roomsの認証システムであるため選定に悩まなくてよい点などが注目されています。
菊地氏は、RICOH BIL TOKYOを「進化し続ける施設」と位置づけています。冒頭で述べたように、リコーは「機械にできることは機械に任せ、人はより創造的な仕事をするべきだ」というコンセプトでOA(オフィスオートメーション)を提唱しました。AI時代の今、リコーはこのOAを再定義し、新しい働き方というOSを再インストールしようとしているのです。RICOH BIL TOKYOは、その新しい定義を発信する重要な場となるのです。「RICOH BIL TOKYOは常に新しく、訪れるたびに驚きを得られる場所でありたいと思います」と、菊地氏は将来を展望します。
「経営者や従業員の"声"は経営資源です。ワークショップで行われる白熱した議論や対話の"声"を正確にデジタル化することで、それを経営資源として活用できるようになるのです」と菊地氏は述べ、音響への投資が重要であることを改めて強調します。
声を経営資源に変え、対話から価値を生み出す。リコーの取り組みを支えるShureの音響技術は、働き方の未来を指し示す重要な要素となることでしょう。
RICOH BIL TOKYO General Manager 菊地 英敏氏
導入製品
IntelliMix Room Kit 70 × 1








