東京サウンド・プロダクション様|“設置時間の圧倒的な短縮” - 中継・配信事業における最新放送用マイクロホンアレイの可能性|DCA901

■お客様プロフィール
株式会社 東京サウンド・プロダクション様
事業内容:映像コンテンツの企画・制作
業種:中継・配信事業
URL:https://tsp.co.jp/
■課題
省人化に対応できるワークフローの実現に加えて、会場ごとの環境に合わせて柔軟に対応できる高効率なマイク・システムを模索していた。
■ソリューション
DCA901 放送用アレイマイクロホン ×2台
■効果
最大8CHを1つのデバイスで集音できるのに加えて、指向性をネットワーク上からリアルタイムにコントロールが可能。接続もLANケーブル1本なので、ネックだったセッティング時間を大幅に短縮でき、コスト面の効率も優れている。
■スペシャル・インタビュー
(株)東京サウンド・プロダクション様はテレビ朝日系列の制作会社で映像コンテンツの企画・制作を行っています。今回は中継・配信事業に携わる撮影センターのサウンドエンジニアである戸塚夏樹氏、福元裕美氏に話を伺いました。同部門ではプロレス中継をはじめ、格闘技系イベントの中継・配信業務などを手掛けております。DCA901を知ったきっかけは社内の別チームからの紹介でした。アメリカのプロバスケットボールリーグ=NBAの導入でも知られるDCA901ですが、同社も最初はバスケットボールの中継の案件での導入を検討していたとのこと。そのなかで戸塚氏が担当する現場でもメリットがあると考えました。
「格闘技の中継現場では設置に時間が無いうえに省人化が求められていました。DCA901ならリモート・プロダクションにも対応できますし、地方の中継の場合でも機材を減らせて、セッティング時間も短縮できるところに可能性を感じました」

格闘技の中継現場の音声収録は、会場に合わせての設置の工夫が必要なうえで、限られた時間内の設置作業に追われるケースも多く、さまざまトラブルが起きやすいと福元氏が説明します。
「例えば弊社が中継を担当するプロレス系のイベントですと、オーディエンス・マイクはリング・サイドから距離をとった位置にガンマイクを4本立てますが、スタンドを固定するウェイトの設置、50~100mというケーブルの引き回しなどを、限られた時間・人員で行うのは荷の重い作業です。長距離をケーブルで引き回すことでノイズも乗る可能性も増え、その対策でケーブルを地面から浮かせたり、ノイズをミキサーのEQで落とすという作業も増えます。あとはマイクの位置を決めた後でも中継状況によっては変更が必要になり、そのたびにマイクの場所まで行ってと……苦労は多いですね」

今回の導入に際して、後楽園ホールでの現場でDCA901のトライアル・テストを行いました。普段のマイク・セッティングに加えてDCA901を追加しサウンド・チェックを行ってみた所感を戸塚氏が説明します。
「評判は良かったですね。設置場所の制約もあり、斜め上の離れた位置からリングを狙うように設置しましたが“本当にこれだけで録ったの?”という驚きを感じる音でした。もし、理想の場所に設置できたら、これだけで充分という感触でしたね。ショットガン・マイクを何本も立てた場合と比較すると、若干芯が欲しいと感じる場面もありましたが、実況などの音声を合わせて使う用途として考えればまったく問題ないです」

リングから10m程離れた2階バルコニーに設置した。
DCA901は1台で最大8CHの独立した音声を集音できますが、最終的には3CHのみを使用したとのこと。先ほど普段からセッティングに苦労していると語った福元氏は「マルチ・チャンネルをケーブル1本でセッティングできるのは革新的」とDCA901のポテンシャルを高く評価します。
「設置に必要なのはLANケーブル1本なので、先ほど言ったようなケーブルの引き回しにともなうノイズに悩まされることもありません。指向性を作る場面ではDCA901が音源に対して自動で指向性を作成する“Auto Position”という機能が便利でした。例えば客席で"この付近の音を拾いたい”場所で手を叩くと、自動的にフォーカスしてくれます。中継がはじまってからでも、いつでもソフトウェアから指向性を変えられるのはこれまでにはない機能ですね」
福元氏が説明するようにDCA901はDSPを搭載し、指向性や音質補正はコンピューターからコントロールできます。その操作性について戸塚氏は「最初、指向性を選択するGUIで筐体を横から見た図形に戸惑いましたが、慣れたら使いやすいね」と評価します。福元氏もソフトの印象を付け加えます。
「EQやレベルの調整など、普段からサウンド・ミキシングなどの業務に携わる人なら一見して問題なく使えると思います。ソフトウェア部分も良くてノイズ・リダクションの精度も良いですね」
お二人とも、DCA901をテストして好印象が多いという反面、観客の視界への配慮が欠かせない中継の現場では、運用時に多少の工夫が必要になると、福元氏は指摘します。
「ガンマイクとは異なりDCA901の見た目は、大きめの円盤の形状なのでお客さんの視界を遮らないよう、設置場所に工夫が必要になります」
後楽園でのテストを経て、DCA901が導入された後、最初の現場となった浅草公会堂での歌舞伎公演では、DCA901を2台設置してテストを敢行。その際の印象について「高い集音能力を感じた」と戸塚氏が評価します。
「客席の最前列の中央付近と、花道から少し離れた位置にセットしましたが、とても良い効果が得られました。前者は本当にひとつでステージ全域をカバーできている印象だったので、7~8chを使いました。これは舞台系の現場でも威力を発揮すると感じました。1台でここまでの範囲をカバーできるのは、ワンオペの現場などでは非常に有効な手段になりますね」


ここまでDCA 901を使ってきたお二人にとって、改めて良かった部分を伺うと戸塚氏は「没入感のある音」、福元氏からは「ソフトウェアの優秀さ」という返答が返ってきました。
「歌舞伎の公演の時は、現場に自分がステージ前にマイクを立てていた時の音に近い印象というか、現場にいるような感覚で録れたのはすごく良かったですね」(戸塚氏)
「本番中に指向性を替えたいと思って操作したときもシームレスに変わってくれるのはすごく良いです。ソフトの視認性も良いですし、ノイズリダクションも優秀でした」(福元氏)

対応プロトコルはDanteまたはAES67となり、LANケーブルで接続する
ノイズ・リダクションに関しては取材時にトライアル・テストで収録した歌舞伎公演の音声を、リダクションの有無で比較して聴かせてもらいました。いずれも没入感は変わらずに聴きやすくなるという印象でした。今後のDCA 901の活用法について伺うと、「独特の形状を気にせずに済む天井に設置することで、幅広く使えると思います」と福元氏は話してくれました。
今後、ホールなどの施設に常設の音響設備としてDCA 901が導入されるようになると、このモデルの使い勝手の良さが生きるという提案もいただきました。最後に同業者に向けて、DCA 901の魅力について戸塚氏に聞くと「まずは体験してほしいです」と、改めてその魅力を語ってくれました。
「やっぱり音を聴かないと分からないというか、特に音響の仕事をしていらっしゃる方は、体験しないと腑に落ちない部分もあると思います。“え、本当にこれで録れるの?”っていうね。もちろん僕もそうで、実際に使ってみて驚きました。特にスポーツ中継の場合は、実況解説をちゃんと聴きたい視聴者さんも多いですから、そのなかで私たちはどうやって没入感のあるサウンドを作るのかが大事。その点においてもDCA 901はすごく便利で、可能性を持ったツールだと思います」
■クレジット
文:伊藤大輔 撮影:ほりたよしか(Caminari INC)










