映画監督/脚本家 永田 琴氏 MOTIVレビュー (MVL, MV88)

子ども映画プロジェクト「えいがっこ」撮影時のエピソード。課題は「素人(しろうと)の子どものインタビューをiPadで撮影する」でした。
映画監督 永田琴氏 MOTIV MVL & MV88レビュー
子ども映画プロジェクト「えいがっこ」撮影時のエピソード

課題は「素人(しろうと)の子どものインタビューをiPadで撮影する」でした。

子どものための映画学校「えいがっこ!」というワークショップを開催しているのですが、カメラを向けられた子どもというのは誰でも緊張し、声が普段より小さくなってしまいます。 結果、何を話しているのか分からない。それではインタビューの意味がない。 そんな声をちゃんと録れないか、それがずっと抱えていた悩みでした。(ビデオ内Episode-1)

今回、2016年夏の開催時に初めてシュアのMVLというピンマイクを使用しました。
ワークショップの場所は、奈良の明日香村。
日本の古代文化で知られてもいますが、自然の豊かな場所です。
普段撮影に従事している者なら容易に想像できるのですが、夏の自然=蝉の声、な訳です。つまり「撮影隊泣かせ」なのです。

やはり、明日香村が一望できる丘の上での撮影では、蝉は元気よく啼いていました。 正直、さすがにこの蝉の声を切ることはできないだろう、と思ったのですが、 MVLを子ども達に装着し撮影したところ… 正直驚きました。殆ど蝉の声が聞こえなかったのです。というより、しっかり子どもの声が拾えているので、気にならないというべきかも知れませんが。(ビデオ内Episode-2)

実は、蝉の声は前から予想していたので、一番大事なインタビューはなるべく蝉がいないところで撮影しようと考えていました。 そこで木のない田んぼの真ん中に位置する史跡で撮影することにしました。
しかし、朝から向かったその史跡まわりの田んぼでは、農家の方が農薬を散布していたのです。
その機械音たるや…。
予想外の展開に愕然としていましたが、農家の方にとっても午前中に終えなくてはならない仕事。
勝手を言う訳にはいかず、諦めて撮影しようかと思い、とりあえずMVLを付けて、子ども達でテストしたところ…ビックリしました。
ほとんど散布機の音がきこえず、はっきりと子ども達の小さな声音を捉えていたのです。
ちょっと大袈裟だと思われるかもしれませんが、正直なところ感動でした。
ただ何を話しているのかというレベルでなく、小さな呼吸やうわずった感じとか、その空気感も繊細に録ることが可能です。(ビデオ内Episode-3)

クリップがついているので、簡単に子ども達の衣服に装着できて、時間を無駄にすることなく進行できました。

ただ、広い画(ワイドな映像)を撮るときは、マイクとカメラ(iPad)の距離が離れます。 地方の魅力的な景色も見えるようにした子どものフルショットや、ワイドショットの場合です。 そうするとマイクケーブルの延長が必要です。 今回は延長のケーブルの長さが足りず、不格好な場面もありますが、声をしっかり録るという意味では大成功でした。 でも欲をいうと、ブルートゥースなどワイヤレスで飛ばせるようになるともっとフットワークよく撮影できるなぁと、これからの開発を希望したいと思います。

子どもたち自身が作ったペーパーオルゴールの音をMV88で録音している様子

子どもたち自身が作ったペーパーオルゴールの音をMV88で録音している様子

もう一つ、MV88も準備していました。 音楽制作としてペーパーオルゴールというものを使っているのですが、そのオルゴール音を録音するのに役立ってくれました。簡単にiPadに取り付けて、MOTIV専用のアプリで録音レベルも調節できました。 おかげで、子ども達の雑音も気にせず繊細なオルゴール音だけを録音でき、 うまくインタビューのバックに流れる音楽として活用できました。(ビデオ内Episode-4)

ただひとつ、iPadにカバーを付けている場合は、接続部がしっかりはまらないので、ケースやカバーを取って装着する必要があります。

今回は、音の威力をより感じることとなったワークショップでした。

【ビデオのご案内:撮影時のエピソードを音でご確認いただけます】
レビューの中の撮影時のエピソードを音で体験していただくためのビデオをご用意しました。
実際の「えいがっこ」作品の中からいくつかのシーンを抜粋したものです。
より良い環境で聴いていただくためにヘッドホンの着用をお奨めいたします。

 

えいがっこ 撮影時のエピソード紹介

 

 

永田 琴


○ 最近のお仕事


2016年    Nestlé 短編「その一言が言えなくて(説不出的那句話)」7 月中旬Nestlé シアターon YouTube にて公開(脚本・監督:永田琴 主演:恒松祐里・曾沛慈(台湾)・袴田吉彦)※オール台湾ロケ、台湾スタッフにて敢行


2016年    映画「全員、片思い」7月2日全国公開
    うちエピソード2「僕のサボテン」脚本・監督:永田琴 主演:森絵梨佳・桜田通2016年乃木坂46 西野七瀬 MV「釣り堀」企画・監督:永田琴 3月23日発売2015年NHK BSプレミアム『素顔トラベラー堀北真希 フランス編〜ボルドーワイン紀行』 11月放送

2015年    日本政府観光局Visit Japan 短編「恋恋九州」脚本・監督:永田琴 主演:施予斐

2014年    映画「シャンティデイズ〜365日、幸せな呼吸」脚本・監督:永田琴 主演:門脇麦・道端ジェシカ・村上淳 ほか

2014年    2014年 小説「シャンティデイズ〜365日、幸せな呼吸」著者:永田琴 (初小説となる)

2014年    WOWOW 連続ドラマW 東野圭吾「変身」監督:永田琴 主演:神木隆之介・二階堂ふみ ほか

 

永田 琴 (ながた こと)
永田 琴 (ながた こと)

1971 年大阪府生まれ。関西学院大学商学部卒業。 岩井俊二監督の元で助手を務めた後、2004 年『恋文日和』(オムニバス映画)で劇場公開デビュー。 2007 年『渋谷区円山町』(榮倉奈々、眞木大輔、仲里依紗主演)、第20 回東京国際映画祭正式招待作品『Little DJ~小さな恋の物語~』 (神木隆之介主演))が公開。 同年、資生堂主催の企画展「スクリーンのなかの銀座」(2007 年ハウスオブシセイドウにて開催)に於いて短篇「WOMAN」を出展した。他 にも企業ブランディング映像として、Nestlé、ワコール(wacoal)等で短編を発表している。 近年では、WOWOW 連続ドラマw東野圭吾『分身』(長澤まさみ主演)、同枠で東野圭吾『変身』(神木隆之介、二階堂ふみ主演)など医療サスペンスにも積極的に取り組んでいる。 2013 年ドラマ『イタズラなKiss 〜Love in TOKYO』(未来穂香、古川雄輝主演)では中国を始めアジアで絶大な人気を得る。 最新作は、2014 年公開の『シャンティデイズ 365 日、幸せな呼吸』。同タイトルの小説(祥伝社文庫)も執筆した。 2011 年ginger studio 株式会社を設立し、子どものための映画ワークショップ「えいがっこ!」を主催。映画制作を通じて子どもたちのコミュニケーション能力の向上をめざすプロジェクトを立ち上げるなど活動は多岐にわたる。 永田琴ウェブサイト www.kotonagata.com

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