オーディオビジュアル評論家 小原 由夫氏 イヤホンレビュー (SE846)

3D的な立体感、実体感を有した、これまでと一線を画すイヤホン
3D的な立体感、実体感を有した、これまでと一線を画すイヤホン - SE846 レビュー

 シースルーのクリアーハウジング、透明シースのケブラーケーブルなど、SE846 の外観から受ける印象は、本機登場前の最上位機であったSE535と比べてさらに精密感がアップし、高性能に映る。

 3ウェイ/4ドライバーという構成は、SE535の3ウェイ/3ドライバーに対して、低域用ユニットが2つとなっている。そこで抱く大方のイメージは、低音の音圧感やエネルギーが違って聴こえるのでは、ということ。確かに低音の出方は、SE535に比べて克明で力がある。

 だが、それよりも高域の情報量の多さ、中音域の質感のよさが印象強い。つまり、低域用ユニットの増強によって、中域用/高域用ドライバーの設計/チューニングに余裕が生まれたのではないだろうか。

 一方で、デュアルドライバーとなった低音域は、やはりどっしり重心が低く、安定感の高さが感じられる。音楽のベースラインは、ピッチが明瞭というだけでなく、量感や深みの再現に、格の違い、余裕の差を感じる。

 総合的にこのSE846は、表現できるキャンバスが広くなり、しかもそれが3D的な立体感、実体感を有しているという点で、これまでのシュアのイヤホンとは一線を画している。

 本機をユニークたらしめている「ノズルインサート」は、思いのほか聴感の差を感じた。これは、着脱式のチューブフィルターで、イヤーチップを装着するノズルの内部に挿入する形式だ。一般には「バランスノズル(ブルー)」でOK。「ブライトノズル(ホワイト)」は、ロックやジャズ、ポップス等に向くように思う。ヴォーカル等の中音域がグッと前に出てくる感じになるからだ。「ウォームノズル(ブラック)」は、クラシック等に相性がいい。メリハリ感は薄まるが、響きが柔らかくなる。

 ノズルインサートの交換時は、部品が小さいだけに、紛失しないよう注意が必要だが、作業自体は決して面倒ではなく、慣れてしまえば左右で2分とかからないだろう。

 当初発表された想定売価に対し、2万円以上安くなっての正式デビュー。これはヒットの予感だ。

 

 

小原 由夫  (おばら よしお)
小原 由夫 (おばら よしお)

オーディオビジュアル評論家。 理工系大学卒業後、電気回路エンジニア、雑誌編集者を経て、1992年より、フリーランスのオーディオ・ビジュアル評論家として活動。50平米強の広さの 自宅の仕事場には、200インチの大画面と大型スピーカーによる5.1chシステムを設置。アナログレコードのモノーラル再生から最新のデジタルサラウン ド、AV、PCオーディオ、カーオーディオに至るまで、そのフィールドの広さ、知見の深さでも定評があり、「実践あっての評論」というポリシーの元、多く のオーディオ誌、AV誌等に執筆している。 趣味はロードバイク、水泳、万年筆蒐集。

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