限られた予算で、用途に特化したマイクを選ぶ方法

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詳細で鮮やかなサウンドを生み出すコンデンサーマイクは、あなたの予算内で購入できるかも。ここで、用途に特化したマイクを選び、しかも予算内に収めるためのヒントをいくつかご紹介します。

マイクを持ち始め出す時期、ラインナップの幅はそこまで広くないでしょう。よくライブなどで使われているから業界の標準的なボーカル・楽器マイクだろう、ということでSM58SM57を数本揃える程度、という方も多いのでは。しかし、より用途に特化したマイクの選び方、またそれが予算内で購入できることは、あまり知られていないかも。

そんな方にグッドニュース。用途に特化したマイクは大規模な全国ツアーやハイクラスな録音スタジオでのレコーディングのみに使用されるわけではありません。詳細で鮮やかなサウンドを生み出すコンデンサーマイクは、あなたの予算内で購入できるかも。ここで、用途に特化したマイクを選び、しかも予算内に収めるためのヒントをいくつかご紹介します。

 

用途に合わせてマイクを選ぶ

マイクロホンを選ぶには、まずこの点を考慮。マイクをどんな用途でご使用ですか?

 
ボーカル? 楽器?

ほとんどのメーカーが音源にあわせて特化されたマイクを製造しています。たとえばドラムキット用にデザインされたマイクは、ボーカルマイクとは特性が異なります。大抵の場合、最初の選択はボーカルマイクか楽器マイクのいずれかでしょう。これらのマイクは明確に分類分けされているため、選びやすくなっています。(たとえばSM58はボーカルマイク。Shureのマイクを種類別に見るには、Microphone page からマイクの種類(SM、BETAなど)を選んでご覧ください。

 

ダイナミック?コンデンサー?

次の選択は、トランスデューサーまたはカートリッジのタイプについてです。トランスデューサーとは、音を電気信号に変換するメカニズムのこと。マイクの核となる部分です。タイプは2種類。

ダイナミックはシンプルなダイアフラム/コイルカプセルデザインで、音を歪ませることなく大音量に対応できます。コンデンサーはより複雑なカプセルデザインで、別の電源を必要とし、音を精確に捉えることができます。

ダイナミックマイクはライブサウンドに、コンデンサーマイクはレコーディングに用いられることが多いですが、そこに確固たるルールが存在するわけではありません。ステージとレコーディングスタジオ、その両方でどちらのマイクも使用されています。ただし、コンデンサーマイクは設計が複雑なため、同じ用途向けのダイナミックマイクよりも価格は高くなるのが一般的。

 

収音特性

続いては、マイクの極性パターン(指向性とも呼ばれます)についてご紹介。基本的には2つのタイプがあります。

無指向性マイクロホンは、マイクに対して音が0度(軸上)あるいは180度(マイクの後ろ側)のどちらから入ってきても、同じように音を再現します。つまり環境音も、狙って録音しようとした音も、すべて同じように収音するということです。

単一指向性マイクは、無指向性よりも一般的に使用され、軸上の音に対してより感度が高く、軸から離れた音に対しては感度が低くなります。ただし単一指向性マイクの場合、フィードバック前にサウンドシステムから高いレベルのゲインを得てしまうことが問題になります。

130度の収音角度を持つカーディオイド型をフロントで使用するのが最も一般的と言えますが、その他サブカーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイドなど、それぞれ異なる収音角度の指向性があります。高い音量のPAシステムや、モニターシステムの需要は多く、カーディオイドが人気の理由ともなっています。

 

異なるフォームファクタ

世界中のあらゆるステージで標準マイクとして使用されているSM58SM57 (双方ともダイナミックカーディオイド型マイク)をまず手に入れると、他のマイクにかける予算がないの ではと心配になったり、また本当にそのマイクが必要なのか、と考えてしまうかも。

2つの例、サイドアドレス型カーディオイド・コンデンサーマイクとグースネックマイクについてご紹介しましょう。どちらも新登場のShureエントリーレベルPG ALTA™ モデルシリーズです。

 

サイドアドレス型カーディオイド・コンデンサーマイクロホン
PGA 181サイドアドレス型マイクロホン

PGA 181サイドアドレス型マイクロホン

一般的に、コンデンサータイプの方が音源に対して感度が良いということについてはすでに触れました。最も高い周波数域でも自然な音を再現できるこのタイプのマイクは、扱いやすい環境(たとえばレコーディングスタジオなど)で最も頻繁に使用されています。コンデンサーはダイナミックマイクよりも頑丈でないように言われがちですが、大音量に対する感度と比較的音量の高い出力という特長から、ライブでのドラムマイキングにも非常に適しています。

しかし、ダイアフラムの大小でマイクを比べると?小口径ダイアフラムコンデンサーマイクは音響信号を精確に捉えるため、測定用マイク、楽器用マイク、アンサンブルのレコーディング用マイクとしてよく使用されています。大口径ダイアフラムコンデンサーマイクは、音に独特の温かみを与え、ソロのボーカルや少人数のボーカルグループなどによく使用されます。

マイクといえば、ほとんどの人がマイクの端(SM58でいえば例えば球形のグリルの部分)が音源に直接向けられている姿を思い浮かべると思いますが、見落としがちなのがマイクの中にあるカプセルの位置。唾液やこぼれたビールなど様々な要素からマイクを守る膜と共に、カプセルはマイクのボールグリルと平行に配置されています。

サイドアドレス型マイクでは、カプセルはマイクの端に対して垂直に配置されています。このフォームファクタの利点は、ギターアンプの前に吊り下げたり、ドラムヘッドのリムの上などに設置しやすいという点です。

 

用途
  • ライブおよびレコーディング
  • アコースティック楽器(ピアノ、ギター、バイオリン、ドラム、パーカッションなど)への近接収音
  • 金管、木管楽器
  • コントラバスやキックドラムなどの低周波数の楽器
  • ドラムやパーカッション用のオーバーヘッド・マイキング
  • オーケストラ、コーラス、吹奏楽団
  • 室内環境音の収音(ギターアンプあるいはドラム)

 

Shure PG ALTAシリーズのサイドアドレス型カーディオイド・コンデンサー・モデル

PGA27 大口径ダイアフラム サイドアドレス型カーディオイド・コンデンサーマイク(税抜市場想定価格 23,800円 )
PGA181  サイドアドレス型カーディオイド・コンデンサーマイク(税抜市場想定価格11,300円 )

 

グースネック型 カーディオイド・コンデンサー楽器用マイクロホン
PGA98D グースネックドラムマイク

PGA98D グースネックドラムマイクロホン

ライブやレコーディングではマイクの精確な配置がきわめて重要なため、必要な場所にマイクを届かせられる性能はとても重宝します。グースネックマイクは教会や会議室の演説台、または放送用などでよく見られますが、ライブやレコーディングでの楽器用マイクとしても便利です。

また、目立たないフォームファクタもグースネックマイクの利点の一つ。サックスのベルやアップライト・ベースのブリッジにクリップするのに最適です。大抵の場合クリップは付属しているので、マイクスタンドを設置する必要がありません(ステージやスタジオのスペースがスッキリ)。

また楽器自体にグースネックマイクが取り付けられているため、マイクの収音範囲から外れてしまうという心配もなくなります。ほとんどのグースネックマイクはコンデンサータイプで、ファントム電源用のプリアンプを内蔵しています。

用途
  • ライブおよびレコーディング
  • 弦楽器、金管および木管楽器、サックス、ラック/フロアタム、スネアドラムなどアコースティック楽器用の近接収音用マイク

 

Shure PG ALTAシリーズのカーディオイド・コンデンサー・グースネックモデル

PGA98D カーディオイド・コンデンサー・ドラムマイク(税抜市場想定価格 17,300円 )
PGA98Hカーディオイド・コンデンサー・ホーンマイク(税抜市場想定価格 17,300 円)

 

実践:マイクの購入

マイクロホンの選択において最も大切なステップ、それは自分自身で試聴すること。残念ながらそういった環境がないという場合でも、次の点に配慮してください。

 

候補リストを作成する

まずは「必要なマイク」と「持っていたら便利なマイク」とを分けましょう。そしてできる限り高品質な「今必要なマイク」を購入するようにしましょう。最初の選択肢としてはShure PG ALTAシリーズがおすすめです。PGA58(伝説的マイクSM58の「親戚」のようなマイク)は約6,500円(税抜市場想定価格)で、本シリーズのマイクは全てShureの堅牢な基準を満たした信頼性の高い製品です。

 

評判の良い楽器店やプロのオーディオ販売店を訪ねる

選択肢を絞る助けとなり、良質な試聴の機会を与えてくれるような豊富な知識を持つ販売スタッフのいる店舗を選びましょう。一般的に、音が一番大きく聴こえたマイクを良いマイクと判断してしまいがちですが、試聴の際はすべてのマイクの音量レベルが同一であることを確かめてください。

イコライゼーションは使用せず、できればヘッドホンを使用してください。ボーカル用のマイクチェックの場合、パフォーマンスと同じように歌ってみましょう。簡単に「チェック、チェック」と言って試してみても、マイクの本当の音の違いはわかりません。ほんの少しの間でもレコーディングする機会があれば、ぜひ実行してみてください。歌った後にレコーディングをじっくり聞いてみるのと、歌っている間にその音を評価するのとでは、判断力の高さに差が出ます。

 

オンライン販売者あるいはメーカーによる返品規定や保証規定を確認する

オンライン購入の方がコスト効果が高い場合は多々ありますが、最終決定を下す前に実際に試してみることができないという難点があります。

時として、ボーカル用マイクロホンは衛生的懸念から返品が認められない場合があるので、このような条件を事前に知っておくと良いでしょう。販売店に返却規定が設けられている場合、実際のパフォーマンス環境でマイクを試すことができ、マイク試聴には最高の条件といえるでしょう。

 

友人に頼んで借りる

友人にミュージシャがいれば、マイクを借りて試すことができないか頼んでみるのもひとつの手。また自分がパフォーマンスを行う会場でどのマイクが使用されているか確認して、会場の音響スタッフに話を聞くのもお勧めです。

 

最後に ~ 自分にとって良い音なら、それこそが良いマイク

マイクの選択に守るべきルールといったものはほとんどありません。自分にとって良い音がするマイクを使うのが一番良いのです。高級なレコーディングスタジオでは多用な状況に対応できるよう様々なマイクロホンをストックしてあるのが通例で、レコードエンジニアたちも実際に「録音」のボタンを押すまでに数本のマイクを試すのがあたり前です。

結局どれが自分にとって良いマイクなのか?その答えは、あなた自身の耳に聞いてみてください。

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ボーカルマイクをお探しの方はこちらのページをチェック!マイク選びに必要な基本知識が学べます。

■マイクロホン・ガイドブック