Shureのクラシック製品にインスパイアされたMOTIV MV5&MV51マイク

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業界をリードするデザイナー、John Millerが、20世紀の象徴的なShureマイクロホンが2つのポータブルMOTIV™デジタルコンデンサーマイクロホンの設計にどのように影響を与えたかを説明します。

普段使いからプロユースとしても活用できるポータブルデジタルマイクの開発タスクは、今回新たに結成されたShureのインダストリアルデザインチームを大いに奮起させました。

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課題とソリューション
目標は、PC、Android、またはiPhone(およびiOS機器)に直接接続できるユーザーフレンドリーなコンデンサーマイクのシリーズを制作すること。その課題は、一般消費者とプロフェッショナルの両方の用途に見合う、そして初心者向けにシンプルでありながら、プロ向けにも洗練されたデザインを生み出すということでした。そしてもう一つ大事なことは、もちろんShureの基準たる優れたオーディオパフォーマンス、堅牢さを持ち合わせているということです。

リードインダストリアルデザイナー兼デザインチーム5名のマネージャーも務めるジョン・ミラーは、初期のプランとShureのビンテージマイクの数々がMOTIVシリーズのマイクデザインに与えた影響について語ってくれました。
ほんの数名で始まったチームは、2年間のMOTIVシリーズ開発終了時期までに大きな企業内グループへと発展。ジョンは当時を思い出し、「最終的には、製品を市場に発表するためのすべてのディテールを取り扱う責任は開発チームが担っていました。コアチームには20名、そして製造とサプライチェーンにはそれ以上の人数が関わっていましたよ。」と語っています。

インスピレーション
初期段階では、MOTIVシリーズ(当時はまだ名前も決まっていませんでした)には大まかなデザインがあっただけでした。ジョンとマーケター、デザイナー、エンジニアによる少人数のグループの間では、iPhoneマウントのマイク(現在のMV88)とPCにマイクを直接接続できるデジタルオーディオインターフェース(MVi)に加えて、二つのデスクトップモデル(後のMV5およびMV51)をシリーズに加えることが決まっていました。

ここでアイディアがひらめいたとジョンは回想しています。「これらの用途で使用されるマイクはキャラクター性が高く、レトロなデザインが合うこともわかっていました。」事実、このマーケットに存在するマイクでビンテージデザインのものもいくつかありました。これはジョンとそのチームにとっては大きな利点となりました。およそ90年に及ぶ歴史の中で、Shureは多数のアイコニックなマイクを生み出しているからです。選択肢は多く、やることも山ほどありました。

 

MV5 デジタル・コンデンサー・マイクロホン

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チームの課題
ボーカル、楽器、ポッドキャストレコーディング用の、取り外し可能なスタンド付、インターフェース不要のUSB小型ダイアフラム・コンデンサー・マイクロホンを制作すること。レコーディング用途に合わせて選択可能なDSPモードを3種類用意し、誰でも簡単に使えるようにすること。

ソリューション
ジョンは語ります。「プロセスはスケッチに始まり、次にいろいろなオプションの3Dプリントに移りました。アイディアとしてはさまざまなShureのビンテージマイクの要素を、特定のマイクを再現せずに統合することでした。
たとえば、フロントグリルのデザインや上部につけた軍隊の認識票スタイルのバッジは、520『グリーンブレット』やその時代の他のマイクのデザインを使用したもので、球形デザインはハンドヘルドマイクのボールグリルを反映しています。MV5はSM7のベルトラインを中央にあしらい、後方通気パターンやその周りのディテールの一部はUniplexマイクロホンに由来しています。

それにこのマイクとMV51には、もう一つビンテージ製品の歴史を受け継いだものがあります。それはSuper 55 Unidyne マイクのロゴです。これはもともと、1940年代のShureのブランドマークだったんですよ。」

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モデル55 Unidyne

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SM7

 

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モデル520「グリーンブレット」

 

MV51 デジタル・ラージダイアフラム・コンデンサー・マイクロホン

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チームの課題
ボーカル、楽器、ポッドキャストレコーディング用の、取り外し可能なキックスタンド付、リーズナブルでインターフェース不要の大型ダイアフラム・コンデンサー・マイクロホンを制作すること。レコーディング用途に合わせてタッチパネルで選択可能なDSPモードを5種類用意し、誰でも簡単に使えるようにすること。

ソリューション
「MV51は1947年のモデル51 Sonodyne (ソノダイン)マイクがベースになっており、ほぼその通り再現した形です。新型のフォルクスワーゲン ビートルのようなものですね。ソノダインはこのレベルの製品に対する市場の需要にとてもよくフィットしているのです。フラットフェースのおかげで機能豊かなユーザーインターフェースを配置するエリアを確保できましたし、スレッドのないキックスタンドのおかげでマイクスタンドへのマウントも簡単で、趣味レベルからプロフェッショナルの機材としてもご利用いただけるようになっています。

MV51はダイキャスト亜鉛製のため重量があり、これは背面のスタンドにも共通しています。MV51用に他のジョイントも考慮しましたが、最終的にはナットやボルト、ワッシャーまで、Super 55と同一のハードウェアを使用しました。これにより製品がオーセンティックなものとなりました。」とジョンは語っています。

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モデル51 Sonodyne

優秀なデザインと便利性を兼ね備えた、最高のコンビネーション
MOTIVシリーズは、NAMM2015での発表の後2015年9月、前述の4製品にMVL ラベリアマイクを加えて市場に登場しました。この時までに、ジョンとチームは2016年1月のNAMMにて発表されたKSM8 Dualdyneマイクを含む他のプロジェクトにすでに移行していました。MV5やMV51と同じく、KSM8 デュアルダインもShure史上の有名製品からヒントを得て製作されています。

それだけでは簡単な話に聞こえるかもしれませんが、実はそうでもありません。ジョンは「MV5とMV51では、Shure の価値に真摯に沿いながらも、それを超えたオリジナル性と現代のトレンドとのバランスを考えました。Shure は常に機能性を第一に考え製品を作り上げていますので、デザインの美しさにも価値はあるということを社内パートナーたちに納得してもらう必要がありました。ラボでは計測できない特性や、データに基づかない特性について、さまざまな話し合いが行われましたよ。」と語っています。

最終的には全員が同意し、利用者の皆さまからの反響もこれを裏付けました。「MOTIVは今、より多くのプロフェッショナル用途に用いられています。便利性が求められる場では、プロが何千ドルもするようなライブレコーディング機材を入れ替えた、などという話も聞きます。ユーザーによってはこのように入れ替えを行ったり、あるいは補助的に使用していただいています。うれしい限りですね。お客様からは多数のご意見をいただいており、私たちの機器に求められる役割をもっと理解するための大きな機会となっていますし、皆さんの期待に応えるより良い製品デザインの参考にさせていただいています。」とジョンは続けています。

 

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1973年に発表され、今も多くの愛用者がいる SM7マイクロホン(現在はSM7B)。どのような製品開発の歴史をたどってきた?

 

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