初めての海外ツアーに備える

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アシュリー、ロンダ、トレバーは、素晴らしい話を聞かせてくれました。海外ツアーを経験したことがある方もぜひ、その経験などをシェアしていただければ幸いです。

あなたのバンドにもついにこの時がやって来ました。ファン層も確実に増え、今や他の国々の人たちもあなたたちのライブを心待ちにしています。さあ、何から始めるか?初めての海外ツアーに向けて何を準備するべきなのか、ツアーに役立つ「経験者の知恵」(無料)といったものはないのでしょうか?

そこで、長いツアー経験を持つ数人のプロに話を伺いました。Shureの友人でもある彼らの経歴から、まずはご紹介します。

英国出身のアシュリー・スワンは現在、プロダクション・マネージャーとしてトビー・キースに同行しています。アシュリーがこれまでツアーを担当したアーティスト歴には、ジェームス・テイラー、キャロル・キング、ベン・フォールズ、テイラー・スイフトが名を連ねています。

「クイーン・オブ・ブルーグラス」と称されるロンダ・ビンセントは、サリー・マウンテン・ショーとして家族と回っていたツアーから始まり約40年間の経験があり、現在は自らのグループ ロンダ・ビンセント・アンド・ザ・レイジを率いて活躍しています。彼女のスケジュールを見てみれば、いったいどこで息をついているのかと思うほどでしょう!

そして最後に、ナッシュビルを拠点とするアーティスト、トレバー・フィンレイです。彼は現在、80年代を代表するポップ・アーティストであるティファニーのバックでギターとバックコーラスを担当しています。

アシュリー、ロンダ、トレバーは、素晴らしい話を聞かせてくれました。海外ツアーを経験したことがある方もぜひ、その経験などをシェアしていただければ幸いです。

 
順応と克服

できればこの時点で、あなたとあなたのクルー(バンドメンバー以外に海外ツアーに同行するスタッフがいる場合)はいくつかのライブやその行程を様々な会場やフェスティバルで一緒に経験していること、そして人員や機材問題をツアー先で経験してきていることが望ましいでしょう。このような経験が、海外での状況を乗り切るのに必要となりますからね。

この点について、アシュリー・スワンは次のように話しています。

「謙虚でいること、これはとても大切です。人々と正しく接していれば、彼らは必ず助けになってくれます。私がアフガニスタンやイラクに行ったときは、使用できる機材は有名ブランドのものではないため、初心に戻らざるを得ませんでした。」

「彼らが持っている機材に合わせてPAやコンソールの配線をやり直さなくてはならなかったことさえありましたよ。」と彼女は続けます。「だから手元で何でもできるようでなくてはいけないんです。観客は機材がいいかどうかなんてこと、まったく気にしませんからね。彼らはそこにライブを見に来ていて、私たちはそれをできる限りの音で実現する。ただそれだけです。環境に順応し、克服できなくてはいけません。ですから、気の持ちよう、態度がすべてです。自分の担当が何であれ、オーディオ、ライティング、移動、あるいは税関手続き、なんであっても、事前準備がカギですね。」

アシュリー・スワン
 
言葉の壁に対応する

ツアーで訪れた国の言語を喋れない場合について、アシュリーは「どの国であっても、ツアー先でせめて二言三言は敬意を示す言葉を話せるようにしておくことはとても大事だと私は思っていますよ。「例えば、ありがとう、お願いします、助けてくれませんか?といった言葉です。その土地の言語を学びたいということではなくて、その環境に少しでも馴染むための努力をするということ、それが大事なんです。」

「ありがたいことに、これまではどこでも、私たちが達成しようとしていることを理解して、それを現地の人たちに伝えられる方が一人はいました。」とアシュリーは語っています。「世界中のほとんどのツアーエージェントやプロモーターたちは、通訳や物事を円滑に進めるための人を現地で用意したり、旅程のいくらかに同行するように予定してくれたりするものです。」

それからこの点では、近日発売の通訳デバイス「Pilot」が高い評判を得ています。いくつかのイヤーピースに設定すれば、スマートフォンのアプリで自動通訳をリアルタイムで実行でき、言語の選択肢も多数あります。

 
オンステージでもオフステージでも準備は入念に

先日ナッシュビルのBongo Java'sで、地元アーティストのトレバー・フィンレイに話を聞く機会がありましたので、ティファニーとの6週間にわたる英国ツアーに備えて準備しているアイテムについて教えてもらいました。1つ目はUSBポートを備えた新しい電力コンバーターでした。50ドルほどする品で、旅行中の電力ニーズのほとんどすべてに対応するはずだったそうですが、機材が動作しなくなることがあったそうで、結局彼はより高いワット定格の、ステップアップ/ダウン式の変圧器を、やはり50ドルで買い足すことになったそうです。

もう一つ彼が準備するよう心掛けているのが、ライブやラジオプロモーション以外の時間に何をするか、だそうです。「その地域だからこそできることを調べておくといいですよ。特に僕は、何もすることがないと、すぐいらないことをしてしまう性格なので」とトレバーは説明してくれました。彼は現地に着く前に旅程を考えて準備しておくそうです。

トレバー・フィンレイ

 

その他、トレバーは自分のATMカードについてしっかり目を通した結果、様々な手数料がかかっていることに気がついたそうです。このような手数料を避けるためのヒントなどについて触れている記事(英語)をぜひ参考にしてください。

 
機材、手荷物、持ち運びたいその他の物

受賞歴を誇るブルーグラスアーティストのロンダ・ビンセントは、スイス、ドイツ、日本へのツアー経験をもとに、海外ツアーの準備についてヒントを教えてくれました。

「荷物は軽くしておきましょう。旅行中に洗濯すれば十分なのですから。そして楽器はできる限り預け入れを避け、機内に持ち込むようにしましょう。個人的には、安心できる快適さが一番大切だと思っています。自分の楽器がなければ、ライブも大変なことになりますからね。それから、自分のイヤーピースも、特にカスタムメイドならば必ず持ち込みで持って行くべきですね。」

自分の機材を持ち運ぶことについて、彼女はこう話しています。「これまでの経験では、国際的なサウンド関連会社の大半が、その地域に対応しているShure機材を提供してくれました。私たちがいつも使用している機材を使えなかった場所は、ほんの数カ所だけでしたよ。これはありがたかったですね。米国仕様の機材を非対応の電源につなげるとどうなってしまうか、ということはすでに経験済みでしたから。機材が台無しになってしまうんですよ。」

海外に出かける際、すべてのニーズを予測することが難しいのは皆さんお分かりだと思いますが、それでも調べておけばおくほど、起こり得る課題にうまく対処できるようになるということですね。それでは最後に簡単なヒントをさらにいくつか。

  • ツアースケジュールにある各会場について事前に調べておくようにしましょう。会場が屋内なのか屋外なのか、それに合わせた服装を用意し、実際の日程が近づいてきたら天気予報もチェックしましょう。真夏の直射日光の中でライブを行ったベテランのモニターエンジニアに話を聞いたところ、深刻な日焼けを避けるために、スウェットを着てフードをかぶらなければいけなかったそうです。もちろんこの日は、ウキウキのライブというわけにはいかなかったそうですよ。
  • 予定会場に到着するまでに予定外のルートを使わなければいけない可能性についても調べておきましょう。電車、タクシー、ゴンドラ、バス。交通費も余裕を持って用意しておくといいですね。

それでは皆さんに幸運と、そして素晴らしい旅をお祈りしています!