ボヘミアン・ラプソディ: ラミ・マレックはいかにしてフレディ・マーキュリーとなったか

ボヘミアン・ラプソディ: ラミ・マレックはいかにしてフレディ・マーキュリーとなったか

シェアする Facebook Twitter LinkedIn

ボヘミアン・ラプソディ: ラミ・マレックはいかにしてフレディ・マーキュリーとなったか

Facebook Twitter LinkedIn

映画『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーン(Queen)のフレディ・マーキュリー役を務めるラミ・マレックにとって、マーキュリーのような天性のパフォーマーを演じるのは簡単なことではなかっただろう。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーン(Queen)のフレディ・マーキュリー役を務めるラミ・マレックにとって、マーキュリーのような天性のパフォーマーを演じるのは簡単なことではなかっただろう。

マレックがアメリカの公共放送・NPRに語ったところによれば、今も熱狂的なマーキュリーのファンたちを納得させるため、可能な限り本物に近付けるよう努力を重ねたという。

© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

 

マレックは義歯の出っ歯を装着していたほか、近年のイギリスのシンガーに似せられるよう、歌・振付・言葉のなまりのレッスンを受けた。さらに、マーキュリーのように完璧なエンターテイナーとしてステージ上でどう振る舞えばよいかを研究した。

その振る舞いのひとつが、スタンドマイクを握ったり、振り回したり、上下に動かしたりしながら反り返るというマーキュリー特有の仕草だ。もちろん、ただのマイクではいけない。彼が好んで使用したShure Unisphere I Model 565でなければ。

映画のコンサートシーンを見ると、製作チームがマーキュリーの外見とパフォーマンスを、バンドのステージ上の機材セッティングも含めて丁寧に再現しようとしていることがよくわかる。そのため、Shure 565も映画のほとんどの場面でマレックと同じスポットライトを浴びている。

「マーキュリーはそのマイクで人間の限界に抗っていることがあります」とマレックはNPRで語っている。「マーキュリーはマイクを乱暴に振り回すこともあれば、エアギターのように優雅に扱うこともあります」。

 

ウッドストックの試練、フレディーに認められる

1966年に登場したShure 565は、Unidyne III Model 545を基にクロームボールグリルを採用している。マイクの輝かしい外見は、優れた音質・耐久性とともにマーキュリーの心を強くつかんだ。

1969年後半、伝説のウッドストック・ミュージック・フェスティバルで565が主要なボーカルマイクとして使用されると、人気が急騰した。ウッドストックでヘッド・サウンド・エンジニアを務めたビル・ヘンリーは、その優れたゲイン・ビフォア・フィードバック性能により565を選択した(当時、アリーナ・ロック・コンサートのパイオニアたちはより堅牢なSM58の存在を知らなかった)。

マーキュリーがコンサート終了時に観衆に向けてマイクをよく投げ込んでいたことは広く伝えられている。クイーンはその歌手の名前が刻まれた565を大量に持っていたのだろう。

2013年、ノースカロライナのお客様よりフレディ・マーキュリーの名前が刻まれた565SDの鑑定依頼をShureは受けた。詳しく調べると、Shureの社史編纂ディレクターマイケル・ピーターセンが、会社で公式に保管されている、歌手ニール・ダイアモンドの名前が刻まれたマイクと一致することを突き止めた。

ピーターセンは次のように述べている。「刻印には一致する特徴がありました。黒いプラスチックカバーリング上のフォントの種類、フォントサイズ、文字の間隔、並び方。Shureは刻印入りのマイクを多数制作しクイーンへ提供していたが、そのことを当時は文書で記録していなかったのです」。

 

もたらされた自信

唯一確かであることは、物語となったマーキュリーのキャリアのほとんどにおいて、彼はそのマイクを使っていたということだ。その事実は、マレックが『ボヘミアン・ラプソディ』で同じShure 565を握ってクイーンの名だたるヒット曲を歌い上げる自信につながったかもしれない。

NPRによれば、映画のステージのシーンとマーキュリーの傑出したボーカルを同期させるため、オーディオ・エンジニアはマレックの実際の声の断片をミキシングに混ぜていたそうだ。そしてまるで少しも怯んでいないかのように、撮影のまさに初日、マレックは1985年に開催されたクイーンの伝説のライヴ・エイドを再現しなければならなかった。

「毎日、外に出て大声で歌っていました。それがマーキュリーに近付ける唯一の方法だったからです」とマレックはNPRで語っている。「極力自然に演じようとしてはいましたが、同時に、マーキュリーとクイーンによる素晴らしいパフォーマンスに尊敬の念を禁じえません」。