9波のワイヤレスを操るガチャリックスピンによるGLX-D® Advancedレビュー

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9波のワイヤレスを操るガチャリックスピンによるGLX-D® Advancedレビュー

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Shureの新製品デジタルワイヤレスGLX-D Advancedは、ハーフラックタイプの受信機GLXD4Rと送信機(GLXD1 or GLXD2)に加えて、さらにパッシブ指向性アンテナ(PA805Z2-RSMA)とフリケンシーマネージャー(UA846Z2)を用いることでシンプルな操作性でデジタルワイヤレスのマルチシステムの構築が可能だ。

Shureの新製品デジタルワイヤレスGLX-D Advancedは、ハーフラックタイプの受信機GLXD4Rと送信機(GLXD1 or GLXD2)に加えて、さらにパッシブ指向性アンテナ(PA805Z2-RSMA)とフリケンシーマネージャー(UA846Z2)を用いることでシンプルな操作性でデジタルワイヤレスのマルチシステムの構築が可能だ。音響設備をはじめPAエンジニア、バンド系アーティストから大きな注目を集めている本製品。ここではリリース前から本製品をテストしていたガールズバンド、Gacharic Spinのメンバーと、バンドのPAエンジニアを務めるヒビノサウンド 高間秀樹氏にGLX-D Advancedの使用感やサウンドの印象に加えて、ボーカルマイクとして使用しているKSM8、イヤモニシステムPSM300についても話を聞いた。

取材・文 ・写真 (一部)/ 伊藤大輔

 

Gacharic SpinはFチョッパー KOGA(bass)、はな(drum&vocal)、TOMO-ZO(guitar)、オレオレオナ(vocal&keyboard)、1号 まい(performer)の5人組バンド。エンターテイメント性に優れたライブパフォーマンスに定評があり、ステージ上を所狭しと動き回る彼女たちのライブにとって、イヤモニから楽器関係までワイヤレスシステムは欠かせない。
「徐々にワイヤレスが増えていったんです。私たちはベースとギターが(楽器を)クルっと回すパフォーマンスをするので、そのためにワイヤレスを使い始めましたが、TOMO-ZOとオレオレオナがパフォーマンスを向上させるためにヘッドセットを使うようになったんです。パフォーマーの1号まいもステージの前に出て煽ったり、歌うときにヘッドセットを使うようになりました。小さいライブハウスでやっていた頃は、音が途切れたら、ノリで何とかカバーすればいいって思ってましたが、最近はライブ会場も大きい場所が増えてきて、スタッフさんからもちゃんとしないとって言われていたんです」(FチョッパーKOGA)

ワイヤレスを使い始めた頃から、混信/音切れのトラブルはよくあったという。ボーカル/キーボードのオレオレオナは「音が出なくなったら代わりに口でキーボードソロを歌うっていうこともよくやってました」と言うが、TOMO-ZOは音切れを避けるために泣く泣くワイヤードに切り替えたこともあったそうだ。
GLX-D Advancedを導入した経緯を高間氏が説明する「さまざまなメーカーの送受信機が混在していたこともあったせいか、リハーサルのときに問題が無くても、本番で通信が途切れたりすることがありました。それもあって全部同一のメーカーのものでワイヤレスシステムを統一したいと思っていました」

 

PAエンジニアを務めるヒビノサウンド 高間氏

 

ライブハウスを多く回る彼女たちにとって、免許や運用調整が要らず、自分たちでも容易にセットアップできるB帯/2.4GHz帯を用いたワイヤレスシステムが必須だったと言う。現在の彼女たちのライブで使用するワイヤレスは、B帯のPSM300を3波、2.4GHz帯が6波の合計9波。バンドとして珍しいほど多チャンネルだ。GLX-D Advancedは2017年4月~5月のライブハウス・ツアーより導入した。以下ではメンバーたちがGLX-D Advancedを実際に使ってみてのコメントを紹介したい。

 

Fチョッパー KOGA(bass)

 

「ベースのパワー感が上がった気がします。ワイヤレスって音が細くなるって言われることもありますが、GLX-D Advancedを使うようになってからは、パワフルになったように感じています。Gacharic Spinは音数も多いバンドなので、ベースが埋もれやすくなりがちですが、このワイヤレスのおかげでその部分を補えています。それにShureのワイヤレス送信機はバッテリーの持ちが良いし、充電式なので乾電池から開放されるのも良い。あと、電池残量の数値が目で見えるので、あとどれくらいの時間使えるのかがわかって、安心できます」(FチョッパーKOGA)

「ヘッドセットのマイクを使って歌っていますが、これまでのシステムだと会場によって電波的に不安があったのですが、そういったこともなく安心してライブに臨めるようになりましたし、GLX-D Advancedを使用するようになってからは、以前使用していた機器よりも、音の厚みが増したように感じます。送信機についてはライブでかなり汗をかくので、これまでに何度も送信機が汗で水没して壊れてしまうことがありました。でも、GLX-D Advancedにしてからは今のところ大丈夫なので、助かっています」(オレオレオナ)

 

オレオレオナ(vocal&keyboard)

「マイクのレンジが狭くなると歌いにくくなってしまうんですが、GLX-D Advancedはレンジが広いから聴きとりやすく、歌っているときも耳がおだやかになりました」(はな)

 

はな(drum&vocal)

「ギターのサウンドに劣化がなくてビックリしました。私はヘッドセットとギターとイヤモニで3つの送信機を身体に付けているので、これまでは他のメンバーと混信したり、音が途切れたりすることがありました。GLX-D Advancedになってからは音切れが無くなり、ワイヤレスへの不安がなくなりました」(TOMO-ZO)

 

TOMO-ZO(guitar)

「私みたいに楽器の知識がなくても電池を入れるだけで使えるのがいい。ライブではかなり激しいパフォーマンスをしますが、送信機がコンパクトで、肌に密着されられるので、動きを妨げられないし、重さを感じないところも嬉しいです」(1号 まい)

1号 まい(performer)

ミュージシャンの目線でも高評価なGLX-D Advanced Digital Wirelessのポイントとして、UA846Z2 GLX-Dフリケンシーマネジャーを用いることで、一台で最大6台分の送受信を管理できる点にある。複数の受信機のアンテナを1ペアにまとめられるほか、常に最適な周波数を選択し、最適なバックアップ周波数を提供することで、2.4GHz帯でありながらも強固な干渉回避機能を装備している。フリケンシーマネジャーの使い勝手に関して、高間氏が説明する。
「フリケンシーマネジャーと1ペアのアンテナで6台の受信機の管理が可能で、周波数に関しても自動で設定してくれるので、余計な心配をしなくてすむのは嬉しいですね。以前は各メンバーの足元に受信機を置いていたので、対バンがいる場合はステージ上に楽器を運び込んでから、ワイヤレスのセッティングをしていましたが、GLX-D Advancedは受信機をラックにまとめられるし、電源を入れるだけで準備完了。セッティングや仕込みの時間も短縮できました」

GLX-D Advancedのフリケンシーマネジャーを用いて6台の送受信を管理
ラックマウントで電源管理も容易

現場や会場規模によってさまざまなワイヤレスを使い分ける高間氏だが、GLX-D Advancedの音質は特筆すべきと語る。
「GLX-D Advancedは高級機と比較したらだいぶ手頃な価格帯ですが、音色的には高級機とくらべても遜色のないレベルですね。ボーカルマイクのサウンドに関しては乾いた感じもあって、僕の好みです」

パッシブ指向性アンテナ

ワイヤレスの電波の安定度の高さもGLX-D Advancedのメリットと言えるだろう。Gacharic Spinが日比谷野外音楽堂で開催したワンマンライブでは、客席中央にセンター・ステージを作り、GLX-D Advancedのワイヤレスを用いてパフォーマンスしている。その様子をオレオレオナが説明してくれた。
「客席の中央を通ってセンターのステージに移動しながら歌いました。メインのステージからセンター・ステージまではわりと距離があったのですが、音が途切れることもありませんでした」

日比谷野外音楽堂でのワンマンライブ

Shureのカーディオイド・ダイナミック・ボーカルマイクロホンのKSM8は、ドラム&ボーカルのはながワイヤードで使用する。高間氏はKSM8を「レンジが広いにも関わらずカブリの綺麗なマイク」と評価するが、はなはKSM8を使うようになってからの印象をこう話す。
「KSM8にマイクを使うようになって、単純に歌いやすくなりました。ドラムのカブリがギャンギャンしないのに、音に広がりがあります」

KSM8のブラックを使用

そしてボーカルマイク/楽器のワイヤレス以外に、Gacharic Spinはインイヤーモニ・システムPSM300を導入している。普段からイヤモニを使っているメンバーに、その所感を聞いた。

「私はテンションが上がるとわけが分からなくなっちゃうことがあったんですが、イヤモニを使うようになってから、自分がモニターしたい音を忠実に返してもらえるようになったので、以前よりも落ち着いて演奏できるようになりました」(FチョッパーKOGA)

「キーボードの前で歌うときもあれば、ステージ前に出ていって歌うこともあるので、ステージモニターを使っていたときは、場所によって自分の歌のモニター・バランスを取るのが難しかったんです。でも、イヤモニを使うようになって、自分の世界を作れるようになって、どの場所でも歌えるようになりました。最初はイヤモニにすると今まで聴いていた客席やステージの音がなくなって、寂しく感じたり、閉塞感があったりするのかなと思っていましたがすぐに慣れました。今ではイヤモニは自分にとって欠かせない存在です」(オレオレオナ)

 

イヤモニの受信機を装着

「ステージ上を動き回るので、ステージでKOGAさん側に行って弾くときは、自分の音が聴こえないのを覚悟していたんです。イヤモニを使うようになってから、自分たちのライブ音源を聴いたときに、自分の演奏のクオリティが上がったように感じました」(TOMO-ZO)

 

なんとTOMO-ZOは3個のボディパックを装着!

アグレッシブなステージパフォーマンスを追求しながら、ワイヤレスをどんどん導入していったGacharic Spin。バンドで9波というのは異例のチャンネル数だが、GLX-D Advancedを使うようになって、安定したワイヤレス運用ができるようになったようだ。最後にFチョッパー KOGAと、高間氏のコメントを紹介したい。

「自分たちが理想としているパフォーマンスはワイヤレスがないとできないですし、安心してパフォーマンスができるようになったことが本当に嬉しいです。それに私たちみたいに年間100本近いライブをやるバンドにとって、Shureのワイヤレスは壊れないし、丈夫で信頼できるというのも魅力です」(Fチョッパー KOGA)

「僕が現場に行けないときでも、GLX-D Advancedは電源を入れるだけでセットできるので、誰でも簡単にセットアップできる。これもこのシステムの大きなメリットだと思います」(高間氏)

 

製品の詳細は各製品の特長や機能は特設サイトをご覧ください。

GLX-D Advanced

KSM8

PSM300

ガチャリックスピン ウェブサイト