―「今まで何度も汗に泣かされてきた」 ― ミュージカル『NINE』 、トラブル無しの公演を支えたTwinPlex

―「今まで何度も汗に泣かされてきた」 ―   ミュージカル『NINE』 、トラブル無しの公演を支えたTwinPlex

お客様プロフィール

株式会社 東京音響通信研究所
『NINE THE MUSICAL』 音響プランナー
ミュージカルサウンドデザイナー/エンジニア 大野美由紀 氏

課題

「ヘッドセットではなくピンマイクを使用したい」との演出家からの要望に対し、汗に強く音質も妥協しないマイク を模索していた。

ソリューション

TwinPlex/TL47を全キャストに採用。

効果

稽古期間を含め数ヶ月にわたり、汗によるトラブルは一切無し。大千秋楽のライブ配信においても、舞台の迫力をあますところなく再現した。

つい先程まで2時間半に及ぶミュージカル本番に神経を研ぎ澄ませていたとは思えないほど、終始にこやかな笑顔でインタビューに応じてくださった大野氏。TwinPlexを理解し、その性能を十二分に引き出した大野氏に、TwinPlexの改善点も含め、丸ごと語っていただきました。
 

ーーー 導入の理由

「ミュージカルNINEは秋の公演なので、それほど汗をかく季節ではないのですが、だけどやっぱり…“安心”ですよね。汗に強いっていうのが。昨年2か月ほどデモさせていただいて音質も判っていましたし、ピンマイクを使う時は必ず、と思っていました。」

  • ピンマイクならSENNHEISER/MKE2、ヘッドセットならDPA/4066、が大野氏の通常のチョイス。デモ期間をしっかりととり、TwinPlexの音質に納得いただいたうえでの導入となりました。

「ピンマイクだとモニターにも大して返らないですし、ロングラン公演になるとキャストの喉にも負担がかかりますよね。ですのでミュージカルでは、なるべくヘッドセットをお勧めしているんです。口元に近い分、私たちも音が作りやすく楽ですし。ただ今回は、演出家の藤田俊太郎さんから、この作品はマイクを見せずにピンマイクでいきたい、というリクエストを最初の打ち合わせでいただいていました。であれば、TwinPlexを使いたいなと。」
 

ーーー 「神」との出会い?

  • 大野氏とTwinPlexの出会いは、TwinPlex新製品発表イベント。イベントでは、ミュージカル俳優・中川晃教氏にTwinPlexヘッドセットTH53で歌を披露いただきました(参照:TwinPlex新製品発表レポート)。
TwinPlex新製品発表イベントでの驚きを振り返る大野氏


「実際にあのデモを見ていなかったら…今回の導入はなかったかもしれないです。音ももちろん良かったのですが、マイクヘッドを水にチャポンと浸けたじゃないですか。あの時に、いやいや、そんな事して大丈夫なの?と思いましたが、しばらく経ってから取り出して喋っても音が変わらず。もう思わず立ち上がって、「神」だなと…笑。音質も良いし、水に浸けても大丈夫。こんなマイクが出てくるなんて、いい世の中になったな…と思いました。」
 

ーーー 実際の音

「今回のミュージカルでは20本近く使っているのですが、他のメーカーさんに比べて、低音が良くとれるな、と思いました。120~160Hzくらいがキレイに入ってくるなと。マイクの本数が重なると、その辺りがフワッとなるので、ある程度はLow カットを入れないとダメなんだな、という印象はあります。でも、とてもナチュラルにつくれます。」

「TwinPlexは125~160Hzがふっくら、という感じなんですけど、他のメーカーさんですとそこは触らなくてもよくて、8KHzとか10KHzあたりをカットしないとナチュラルな音質にならないんです。切る帯域が違うな、と思いました。」

  • TwinPlexはカプセル内に2枚のダイアフラムを搭載した独自構造で、ケーブルの衣擦れなどのノイズをキャンセルするというメリットを備えています。残念ながら、この点に関してはオペレートしていて特に感じなかったそうです。「悪いことって目立つのですぐ気が付きます。何も感じなかったということは、良かったということなんだと思います!」とフォローしていただきました。
     

ーーー 汗対策

周波数キャップには汗や湿度に強い超疎水性ナノコーティング

「汗対策は何もしていません。汗でマイクが死ぬような季節は6~10月くらいまでで、この時期のピンマイクは非常に扱いづらいのです。今回は時期的なものもありますが、TwinPlexを信頼しきっているので汗対策の必要はないです。デモでTwinPlexを2か月間お借りしていた時、 “このマイクは汗にとても強いんですよ” とキャストに伝えたところ、皆とても安心していました。今回のキャストはほとんどが女優さんです。もともと女優さんは顔に汗をあまりかかないので汗でマイクが死ぬことも少ないのですが、今度は男優さんが多い現場でも使ってみたいですね。」
 

ーーー 衛生対策

  • 稽古も含めると、数ヶ月もの長期間にわたるミュージカル公演。ただでさえ健康の維持には気を遣っておられるカンパニーの皆さんですが、今年は新型コロナウイルスという、公演の存続を左右する脅威と背中合わせの日々でした。

「日々の衛生対策としては、マイク類はUV照射の除菌ボックスに入れています。ハンドマイクやトランスミッターなどはアルコールで拭き取りもしますが、ピンマイクはケーブルに加工を施しているので、タッパーに入れてUV除菌後、触らずそのままキャストにお渡ししています。」
 

ーーー 仕込みとケア

  • TwinPlexのケーブル被膜は、繰り返しの塗装とアルコール拭き取りへの耐性が非常に高いという特性を持っています。また、信号線には、強化繊維の周囲にらせん状に巻きつけたティンセルを採用することで、強靭さとしなやかさを兼ね備えたケーブルになっています。
巻き癖がなく扱いやすいケーブルは、アルコールの拭き取りにも強い

「確かにケーブルの巻き癖がないです。撚れません!  ピンマイクをキャストの頭に仕込んで、背中をまわしてベルトパックに装着するのですが、その時に少しでもヨレがあると衣装がフワッと浮いちゃったりするんです。でも、TwinPlexはそれがないですね。汗をかくと、衣装の色がマイクケーブルに移ってしまうことがあります。それを防ぐためにケーブルを養生しても、養生を通過して色移りします。ここに色が付着したケーブルがあるので…では、実際にエタノールで拭いてみたいと思います。」

  • そう言うと、エタノールを取り出し、私たちの目の前でケーブルを拭いて見せてくれた大野氏。もともとTwinPlexのケーブルは塗装用のインクが乗りやすい材質ということもあり、付着した色素を完全に落としきることはできませんでしたが、アルコールへの耐性が高いため、汚れ落としや除菌などの日々のケアもストレスなく安心して行っていただけます。
     

ーーー TwinPlexへのダメ出し

  • 開口一番、「私、けっこう辛口なんです」と身を乗り出す大野氏。TwinPlexのダメなところを語っていただきました。
     

① 周波数キャップが大きすぎる

「MKE2は、もっともっと小さいんです。TwinPlexは周波数キャップの改良をしていただけると、本当に皆が使うようになると思います。」
 

② 周波数キャップが大きく丸い

「現在の2/3くらいになると、とても使いやすいと思います。また、キャップ先端の形状が丸いので、これがキャストの顔に乗ってしまうと団子のように目立って見えてしまいます。他のメーカーさんのマイクはもっと小さく形状もフラットなので、目立ちにくいのでしょうね。」
 

③ 周波数キャップのスリットの間隔が広い

「スリットの隙間から、キャストの髪の毛が入るんです。そうなると、PAできないくらいのノイズが出ます。髪の毛の侵入によるノイズだと判るまでに数日かかってしまいました。このスリットの間隔は、早急に改良してもらえると助かりますね。MKE2のキャップはとても目が細かく、キャストの髪の毛が中に侵入することはありません。今回は、キャップのスリットから髪の毛が入ることを防ぐためにストッキングを被せていますが、マイクヘッドが余計に大きく見えてしまいますし、当然音質も変わります。また、ストッキングは ”汗を呼ぶ” と言われています。TwinPlexは汗に強いものの、(ストッキングによって)何か影響が出てしまうかもしれない、と思っています。」

TwinPlex/TH53 ヘッドセットタイプ


④ ヘッドセットブームのアジャスターダイヤルが大きい

「このダイヤルが無くなってヘッドセットのワイヤーに直接マイクが付くようになると…他社メーカーを選択していた人もTwinPlexを使うようになると思います。TwinPlexのダイヤルは大きく、とても目立ちます。あのままだと、すごく製品が良いのに勿体ないです。新製品のヘッドセット(DuraPlex/DH5)も同じで、あの丸いパーツが無くなれば良いですよね。」


⑤ ヘッドセットフレームが柔らかすぎる

「(コロナ下の)このご時世、ヘッドセットマイクもキャスト本人が装着する事が多いので、着脱が簡単なものの方が良いですね。TwinPlexのフレームは柔らかく、装着時に位置が定まりづらいようです。マイクの装着位置が5mm変わっても、音の入り方は全然違います。それを防ぐために専用の“枠”を用意して、マイクの位置を一定に保つようにしています。」

  • これらの改善点は、今回実際に使用してみて初めて気が付いたそうです。私たちメーカーとしても、このようなフィードバックはしっかりとグローバルの開発チームにレポートさせていただきます。
     

ーーー これからのピンマイクのスタンダードに

「ウエストエンドもブロードウェイもクローズしている中で*1、なかなか新しいマイクに移行する事も難しいかと思うのですが、TwinPlexは、これからのミュージカルでピンマイクのスタンダードになると思っています。本当に期待しています。あとは、アクセサリーだけ改良していただければ…もう、みんなが使うと思います。でも、使ってもらいたくないな、とも思っています。みんなに使ってもらいたくないマイクです。教えたくないです!」

  • 大野さん、率直なご意見をありがとうございました!

*1 : 2020年11月19日時点
 

■関連リンク

導入事例動画:https://youtu.be/NuGaAXPNwCA

TwinPlex製品ページ:https://www.shure.com/ja-JP/performance-production/twinplex
 

導入製品

製品名 説明
TL47 25 表現豊かで自然なサウンドシグネチャーと塗装可能な1.6 mm高耐久ケーブルを備えた超小型ラベリアマイクロホン。各種カラーおよびコネクターオプションを用意。