Shure AXT DIGITALワイヤレスシステムがスーパーボウルウィークを通じて大活躍

Shure AXT DIGITALワイヤレスシステムがスーパーボウルウィークを通じて大活躍

 何千台というワイヤレス機器がクリア周波数を奪い合うスーパーボウルは、毎年開催されるライブイベントとしては最も多くのワイヤレスチャンネルが必要であることは間違いありません。2019年の開催都市であるアトランタでは、試合当日までの間、さまざまなフットボールアクティビティー、コンサートイベント、放送、ファンイベントが行われました。これらのイベントを通じて安定した運用と優れたサウンドクオリティーを確保するために、試合当日はフラッグシップのAXT DigitalワイヤレスシステムとPSM® 1000インイヤーモニターをはじめとするShureワイヤレスシステムが選ばれました。

 RF運用全体のプランニングと管理は、NFLの周波数コーディネーターであるカール・フォス(Karl Voss)氏が担当しました。プライマリー・オーディオ・サプライヤーのATK Audiotek社は、フィールドでのエンターテインメントをクリアなオーディオで届けるという課題を乗り切るために、今回もフロリダ州オーランドのProfessional Wireless Systems(PWS)社のエキスパートに仕事を依頼しました。PWS社は、プレゲームショーの中でも特にグラディス・ナイトによる国歌斉唱、マルーン5によるハーフタイムショー、そして重要な審判用マイクロホンを担当しました。

 PWS社のRFエンジニアであるギャリー・トレンダ(Gary Trenda)氏は、今大会もShureワイヤレスを選びました。その理由について、「AXT Digitalを推奨システムとして使用するのはこれで2年連続ですが、AXT Digitalにはフットボールの競技場をカバーする上でいくつかの利点があります。まず、Quadversity(クアッドバーシティ)アンテナシステムにより信頼性と到達距離が向上しています。どこに送信機があろうと、常に通常のダイバーシティシステムの場合よりもアンテナとの距離が近くなります。これは大きな強みです。通常、RF分配を設計し、ワイヤレス機器を指定する時点では、まだステージのデザインや位置が決まっていないからです」と説明しています。

 キックオフの30分前、AXT Digitalが支える試合中継放送は順調なスタートを切りました。昨年の受賞者であるJ.J.ワット(ヒューストン・テキサンズ)によるクリス・ロング(フィラデルフィア・イーグルス)へのウォルター・ペイトンNFLマン・オブ・ザ・イヤー賞の授与式などでは、KSM8マイクヘッドを装着したAD2ハンドヘルド型送信機が使用されました。カラーガードのパフォーマンスでは、下士官と鼓手にAD1ボディーパック型送信機が使用されました。さらに、クロイ&ハリー (Chloe x Halle)がAD2/KSM9ハンドヘルドを使って「America The Beautiful」を披露した後、グラディス・ナイト (Gladys Knight) がShure独自の周波数ダイバーシティ方式を採用したADX2FD/KSM8マイクロホンを手に国歌斉唱しました。

 コイントスに備えて、ジョン・パリー審判には同様に周波数ダイバーシティモードのAXT100ボディパック型送信機(アナログ)を2台使ってダブルマイキングしました。パリー審判は試合の間中、このシステムを反則コールに使用したため、審判用マイクロホンは常にモニタリングされていました。数年前のAXTアナログへの変更以来、審判の音声は素晴らしい音質を保っています。

 トレンダ氏は、「Shureの周波数ダイバーシティ機能には大きな利点があります。2つのアクティブ周波数が同時に動作しているため、もう一方のチャンネルに途切れなく切り替えることで干渉を回避できることです。2本のマイクロホンに加え、一方を現場のAC電源、もう一方をUPSバッテリー・バックアップ・システムに接続した2台の受信機を使用することにより、そのリダンダンシーを審判用システムにも適用しました。その結果、完全にリダンダントな2系統のオーディオパスが形成され、かなり突発的な故障でも発生しない限り審判の音声が途切れることはありません」と述べています。

 ハーフタイムショーはShureの独壇場でした。アダム・レヴィーンのボーカルにADX2FD/SM58マイクロホンが使用されたほか、レヴィーンとリードギタリストのジェイムズ・ヴァレンタインのギターには新しいADX1ボディーパック型システムが使用されました。AXT DigitalのADXシリーズにはShureのShowLink®システムが搭載されており、システムオペレーターによるすべての送信機機能の完全なリモートコントロールが可能です。このバックチャンネル・コマンド&コントロール・システムは、メルセデス・ベンツ・スタジアムの周囲に戦略的に配置された3台のAD610 ShowLinkアクセスポイントによって支えられました。

 トレンダ氏は、「PWS社のキャメロン・スタッキー(Cameron Stuckey)氏は、Wireless Workbench®ソフトウェアを使ってすべてのShureワイヤレスシステムを一日中モニタリングしていました。ADXシリーズ送信機は、Wireless WorkbenchとAD610アクセスポイントによってあらゆる側面をコントロールできます。実際、周波数の変更やその他の機能の調整を遠隔で行えます。そのため、スーパーボウルのようなイベントにおいて求められる特に高い信頼性と確実性が得られます」と述べています。

 実際、Shureの製品はスーパーボウルウィークのさまざまなイベントで使われました。試合中、サラウンドサウンドのリスナーは臨場感あふれる音響を楽しみましたが、それを支えたのはM/S方式のVP88ステレオマイクロホンとKSM313リボンマイクロホン、ペア構成のBETA 181コンデンサーマイクロホン、X-Y方式で天井に設置されたKSM44Aコンデンサーマイクロホンをはじめ、観衆の興奮を捉えるためにサウンドエンジニアのデイブ・グルントヴィ(Dave Grundtvig)氏によってスタジアムの周囲に戦略的に配置されたさまざまなShureマイクロホンでした。

 スーパーボウルウィークの間、NFL、ロサンゼルス・ラムズ、およびニューイングランド・ペイトリオッツによるスーパーボウル記者会見に加え、ステート・ファーム・アリーナで開催されたオープニングナイト、さらにはスーパーボウル・ライブ・ファンイベントにおいて、48チャンネルのAXT Digitalが展開されました。ジョージア世界会議センターでのスピーチやインタビューに使用された演台に設置されていたのは、Shure MX418グースネックマイクロホンでした。

 土曜日に行われたNFLオナーズ授賞式では、ATK Audiotek社は20チャンネルのAXT Digitalと6チャンネルのUHF-R®ワイヤレスマイクロホンを用意し、すべてのインイヤーシステムにPSM 1000を使用しました。もう1つのハイライトは、今回初めて開催されたバドライト・スーパーボウル・ミュージックフェストでした。毎日行われたこのコンサートイベントでは、Bruno MarsがAXT Digital、AerosmithがAXT(アナログ)、Cardi Bが自身のサインの入ったゴールドのUHF-Rハンドヘルド型ワイヤレス送信機を使ってパフォーマンスを繰り広げました。

 何百台ものAXT DigitalマイクロホンとPSM 1000インイヤーシステムをはじめとするShureワイヤレスシステムは、スーパーボウルサンデーに至るまでアトランタ周辺で行われた公式イベントでも最も過酷な状況の中で活躍しました。そして、日曜夜にクライマックスを迎えた試合自体でも完璧なパフォーマンスを発揮しました。

 トレンダ氏は、地球上で最も過酷な生中継イベントにふさわしい完璧なRF性能と優れたサウンドクオリティーという、スーパーボウルの音響に対するNFLの期待にAXT Digitalが今回も応えてくれたとした上で、「スーパーボウルには入念な準備と特殊な機器が必要で、Shureはその大きな割合を占めています。今年もプレゲームショーやハーフタイムショーでの機材のトラブルはゼロでしたので、Quadversity機能を搭載したAXT Digitalは当社の推奨ワイヤレスと言えるでしょう。AXT Digitalはスーパーボウルのような生中継イベントに要求される信頼性を備えた実証済みの製品です」と述べています。

2019年2月3日にメルセデス・ベンツ・スタジアム(ジョージア州アトランタ)で開催されたペプシ・スーパーボウルLIIIハーフタイムショーでShure ADX2FD/SM58マイクロホンを握りパフォーマンスを披露するマルーン5のAdam Levine(写真提供:Kevin Mazur/WireImage)

2019年2月3日にメルセデス・ベンツ・スタジアム(ジョージア州アトランタ)で開催されたスーパーボウルLIIIプレゲームでShure ADX2FD/KSM8マイクロホンを使って国歌を斉唱するGladys Knight(写真提供:Kevin Winter/Getty Images)

導入製品

製品名 説明
AXT AXT Digital これまでにない信号安定性と明瞭度の高い音質に加え、用途に合わせたシステム構成、多様な接続性、および統合的なコントロールを提供