Audio Reference Compandingとは何ですか。

更新日: 2020年1月29日 FAQ #5751

質問:

Audio Reference Companding/オーディオ リファレンス コンパーディングとは何ですか。

回答:

Audio Reference Companding(ARC)を理解するには、まず従来方式の説明が必要です。
コンパンダー(固定比率圧縮伸長)とは
コンパンダーとは、正反対の(ワイヤレスにとっては相補的な)ダイナミクスプロセッサーであるコンプレッサーとエクスパンダーを組み合わせた言葉です。コンプレッサーが信号のダイナミックレンジを圧縮するのに対し、エクスパンダーはダイナミックレンジを伸長します。ワイヤレスマイクロホンシステムの場合、送信機で圧縮が行われ、受信機で伸長が行われます。圧縮と伸長は、どちらも電圧制御増幅器(VCA)によって行われます。ほとんどのワイヤレスマイクロホンシステムは、送信機では2:1の固定圧縮比率を使用しています。例えば、コンプレッサーの入力レベルが2 dB増加すると、コンプレッサーの出力レベルは1 dB増加します。受信機では正反対の伸長(1:2)を行い、それによってシステム入力信号のダイナミックレンジを復元します。
固定比率のコンパンダーは、信号レベルに関係なく連続的に信号処理を加えます。レベルの低い無線信号を圧縮伸長すると、信号のノイズフロアが聞き取れるレベルまで上昇します。この低レベル時の不自然な音は、ほとんどのワイヤレスユーザーによって「ブリージング」または「ポンピング」ノイズとして認識されます。ブリージングノイズは、ノイズフロアの急激な上昇が原因であり、信号レベルが高い時は目立ちにくくなります。この不自然な音は、適切に設計すれば最小限に抑えることが可能ですが、解消することはできません。


Audio Reference Compandingとは
Audio Reference Companding(ARC)方式は、「圧縮伸張はしない方が良い」という原則に基づくレベル依存型の圧縮伸長方式です。信号レベルが低い時は圧縮伸張を行わないため、音が不自然になることがありません。ARCは、徐々に圧縮を開始する「ソフトニー」タイプの圧縮を採用しており、圧縮伸張が絶対に必要になるまで圧縮伸張を回避できます。その結果、低レベル時の不自然な音を解消できるほか、システム歪みの減少、過渡特性の改善、全体的により自然で忠実な再現につながります。
レベル依存型の圧縮伸張の適切な動作は、VCAの品質と、送信機と受信機の音声セクション間の追従精度に大きく左右されます。しかし、正確に動作実装させれば、不自然な音(ブリージング)の解消、歪みの減少、ノイズフロアの低下、ヘッドルームの拡大といった効果が得られます。また、一般的にあらゆる信号レベルにおいて音質が改善されるほか、コンパンダー全体の動作が目立たなくなります。これは、固定比率のコンパンダーの恒常的なふるまいを嫌って、ワイヤレスシステムをこれまで敬遠してきたギタリストにとって特に注目すべき点です。また、ARCによるノイズフロアの低下により、近接したリスニング環境のため不自然な音が目立ちやすいパーソナル(インイヤー)モニターシステムのユーザーも、ストレスの少ないリスニングが可能となります。ほとんどのワイヤレスシステムに共通する不自然な音に納得できず、ワイヤードマイクロホンを頑なに使用してきたパフォーマーやプレゼンターも、ARCが実現するワイヤードマイクロホンに匹敵する明瞭な音質にはご満足いただけるはずです。