デジタル一眼レフカメラの動画撮影でマイクを使用するには?

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このポストでは、ビデオに使用するマイクの選択肢について紹介していきたいと思います。

Shure:Thomas Banks、Chris Lyons、Gino Sigismondi
 

MicDSLR-1

現在、YouTubeだけでも1分間の間に60時間分以上のビデオが毎日アップロードされていることをご存知ですか?1ヶ月間でYouTubeにアップロードされるビデオの合計時間は、なんと3つの主要テレビ局ネットワークが過去60年間に作成した番組時間数よりも長くなります。そして学校の寮で撮影されたたった51秒間の「ハーレムシェイク」が3,600万回もシェアされる、そんな時代なのです。その他にも驚くべき統計はいくらでもありますが、それらがすべて指し示すことは、テクノロジーの発展(特にスマートフォン)に伴い、より多くの人々がビデオを撮影しているということ。そしてその多く(約1500万人ほど)が、昨年の間にデジタル一眼レフカメラ(以下DSLR)を購入しているのです。

※2014年4月 Shure Inc. blog での記事アップ時の情報になります。

その購入者数の増大に伴うDSLRの動画撮影機能の拡張によって、カムコーダーの存在は時代遅れなものとなってしまいました。スマートフォンカメラがそれまでのデジタルカメラの性能を凌いでしまったのと同じことです。ビデオにおけるカムコーダーとDSLRの比較だけでも一連の記事が書けるほどですが、それはビデオ専門家に任せるとしましょう。それに、現在DSLRが抱える課題(大きさ、ビデオ録画時間の制限)も、近い将来その改善点が見出されることでしょう。そこで、ここではオーディオに絞って話を進めていきたいと思います。

ビデオ鑑賞の際に観客、顧客、または批評家が最初に気づくことは音質の悪さだということで専門家の意見は一致しています。あるビデオグラファーは「目をだますことは簡単でも、耳をだますのはそう簡単にはいかない」と述べています。ビデオプロジェクトの可否は音質にかかっているといっても過言ではありません。作品のビジュアル面がいかにクリエイティブでプロフェッショナルでも、音声が明瞭でなければその魅力も意味のないものとなってしまいます。

そこでこのポストでは、ビデオに使用するマイクの選択肢について紹介していきたいと思います。

 

まずはマイクの基本から:ダイナミック、それともコンデンサー?

マイクロホンは基本的に変換器であり、つまりある形式のエネルギー、この場合は音響エネルギーを、デジタル化できる電気信号に変換する機器です。このマイクロホンには、2つの種類があります。

ダイナミック―堅固で信頼性の高いシンプルな機器です。ダイナミックマイク(SM58など)は操作するのに電源を追加する必要はありませんが、感度には制限があります。そのため、音源とマイクロホンを近づける必要があります。また、コンデンサマイクよりもサイズが大きい場合がほとんどです。

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コンデンサー―ダイナミックのマイクとは異なる操作原理。電池またはオーディオチェーンで次に配置されているデバイスからの追加の電源(ファントム電源)を必要とします。感度が極めて高く、ダイナミックマイクよりもいくらか値段が高い場合がほとんどですが、録音用途においては最もよく使用されています。その評判とは反対に、コンデンサーマイクはダイナミックマイクと同様に高い耐久性を備えています。

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周波数特性はフラット、それとも調整されているほうがいい?

この選択は、街頭インタビューなのか、音楽のパフォーマンスなのか、といった録音している対象によって変わります。

フラットな特性とは、マイクロホンがどの周波数に対しても平坦な特性を持つことを表しています。この場合、もっとも精確な音と、幅広い周波数応答が得られます。コンデンサマイクロホンに最も一般的な特性で、このタイプの周波数応答はストリングカルテットの録音などに適しています。自然な音をそのままを録音できるよう、すべての低音と高音を捉えることができます。

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フラットな周波数特性

 

フラットな特性はダイナミックマイクロホンの大半に見られる特性です。人の声を録音している場合、カーブしたレスポンスなら必要な周波数をすべて捉えることができます。

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調整された周波数特性

 

無指向性、それとも単一指向性?

マイクの極性パターンは、異なる方法からマイクに向かってくる音に対してマイクがどのように応答するかを表しています。

無指向性マイクは、どの方向から来る音に対しても感度があります。つまり、マイクを差し向ける必要がないということです。そのかわり、すべての音がマイクに入ってきます。

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単一指向性マイクは特にビデオに向いています。音源に差し向ける(捉える範囲を定める)ことができる上、他の音源を拾わないですむからです。

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単一指向性マイクロホンにはカーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイドの3つのタイプがあります。下でさらに説明しているショットガンマイクは単一指向性マイクの極端な形式で、鋭いピックアップ角度を備えています。

Gino Sigismondiは「マイクロホンの収音距離といったものは存在しません。外に伸びていって、必要な音だけマイクに近づける、などということはありえないんです。マイクロホンにはズーム機能はありませんからね。音というものは、距離が倍加するごとに6dBずつ低下します。マイクと音源の距離を15cmから30cmに遠ざけると、信号レベルは6dB低くなるわけです。」と述べています。撮影しているものが何であれ、マイクロホンを音源に近づけることは基本中の基本です。

 

カメラにマウント、ハンドヘルド、ワイヤレス、ラベリア、それともショットガン?

DSLRに内蔵のマイクロホンを使用している場合は、ビデオを撮影しながら良好な音声を捉えるのは特に難しいといえるでしょう。これらのマイクは音質に重点を置かず、カメラに非常に近い音源(たとえば撮影している人)を捉えるよう設計されているため、操作音や背景雑音を拾ってしまいます。子供の頃のホームビデオを思い出してみましょう。グランドキャニオンで歓声を上げる家族の姿を撮影しようとカメラをパンしているお父さん、おじいちゃん、、、結局誰の声が一番入っていますか?お父さん、またはおじいちゃんの声です。

つまり、マイクロホンはその音源に近づけることが基本。外付けマイク―ハンドヘルド、ラベリア(ラペルとも呼ばれます)、ショットガンマイク―を活用すれば、一番重要な「最良のS/N比」が得られるということになります。

ただしそれぞれのマイクにはコストや性能の面で違いがありますので、ここで一つずつ紹介していきましょう。

 

ワイヤレス・ラベリア

この場合、ラベリアマイクを話し手のあごから15~20cm離して着用します。ポケット、襟部分、ネクタイなどにクリップ止めするのが一般的です。

種類:最もよく知られている極性パターンは無指向性ですが、単一指向性の方が過度の環境雑音やフィードバック問題をコントロールすることができます。一般的にはコンデンサーマイクのほうが向いています。

使用時のポイント:

  • 話し手はマイクロホンやケーブルに触らないように注意すること。
  • 破裂音を防ぐため、マイクにウインドスクリーンをつけること。
  • 送信機と受信機の距離をできるだけ近づけること。音が途切れるときは、受信機を動かしてみてください。
  • 受信機のアンテナと送信機との見通し線を良好に保つこと。
  • マイクはシャツやブラウスの襟にクリップ止めしても良いでしょう。この位置で拾った音声は少しこもった感じになりますが、これは高周波数(子音を含む)があごの真下の位置に完全に回りこまないためです。
  • 新しい電池を使用すること。電池は作動することをテストしてから、撮影直前に入れてください。

Shureオプション:MX150 ラベリア マイクロホン と FPワイヤレスシステム の組み合わせ

 

ハンドヘルド

一般的な用途にもっともよく使用されるのがハンドヘルドタイプ。街頭インタビューなどでは典型的といえます。良質なハンドヘルドマイクはハンドリングノイズを抑えるショックマウントを内蔵し、粗悪な扱いにも耐え得る丈夫な構造になっています。

ハンドヘルドマイクには有線とワイヤレスがあります。ワイヤレスマイクには、プラグオン送信機を使用してワイヤレスに返還できる有線マイクと、送信機を内蔵するワイヤレスハンドヘルドマイクの2種類があります。

種類:無指向性あるいは単一指向性、通常はダイナミックです。取材のようにマイクがインタビュアーと受け手の間をいったりきたりする場合などでは、無指向性マイクが使われるのが一般的です。放送用に一人だけの声を録音する、といった場合は背景雑音を拾わないようカーディオイドが適しています。

使用時のポイント:

  • 可能な限り無指向性マイクを使用すること。
  • マイクロホンは話し手の口から約15~30cm離れた位置で使用し、破裂音を抑えるよう45度角でマイクを向けること。これにより、破裂音がマイクに直接向かわず通り過ぎることができます。
  • 単一指向性マイクロホンでは、マイクロホンを約10~15cm近づけると低周波数が強調され(近接効果)、ベースの効いたより温かみのある音になります。

Shureオプション:SM63ハンドヘルドマイクロホン と FPワイヤレスシステム

 

ショットガン

マイクロホンカートリッジが長い溝付インターフェースチューブの先についている姿がショットガンに似ていることからこの名前がついています。チューブ部分が両脇30度以上の角度からくる雑音を排除し、正面からの音声のみを拾います。しかし、ショットガンマイクは音の広角レンズというわけではありません。30メートルも離れている人たちの会話にズームインできる、というものではないことを理解しておきましょう。

ショットガンマイクはカメラまたはマイクブームにマウントされているため、ビデオを見る人にはその存在がわからないことがほとんどです。通常は、標準の単一指向性マイクロホンの4~5倍の使用距離に配置されます。ショットガンマイクは対象者の背後から来る雑音は拾ってしまうことに注意してください。

種類:

すべてのショットガンマイクロホンはコンデンサタイプで鋭いピックアップ角度を備えています。

使用時のポイント:

  • ショットガンマイクは音源のやや上、下、あるいは横に配置し、カメラに映らないようにすること。
  • マイクはタイルの床、レンガの壁、天井など硬い表面に向けないこと。これらの表面は音波を反射するため背景雑音も反射したり、音が鈍く聞こえることがあります。(反射する表面には布などをかけて一時的に吸音措置をとること)
  • ショットガンマイクは標準のマイクロホンよりもウインドノイズに敏感なため、マイクを早く動かさないように注意し、可能な限りフォームウィンドスクリーンを使用すること。(屋外の場合は通常「ツェッペリン」または「ブリンプ」タイプの大型のウインドスクリーンが必要)
  • スタンドやブームを通してハンドリングノイズが伝わらないよう、ゴム絶縁緩衝台を使用すること。
  • 台本が決められたビデオにブームを使用している場合、ブーム担当者も台本を持っているようにすること。出演者が一人以上の場合、ブーム担当者はショットガンを正しいタイミングで正しい出演者に向ける必要がありますが、これをマイクを常にカメラに映らないようにしながら安定した音質を保ち、6メートルを超える長さのブームを使用しながら実現するのは容易なことではありません。

Shureオプション:VP82ショートショットガンマイクロホン または VP89ショットガンマイクロホン

 

カメラマウント型ショットガン

単三電池で動作する外付けのカメラマウント型マイクロホンは、ビデオグラファーたちの間でますます人気が高まっています。カメラの上部に直接マウントできるため、ハンドリングおよびモーターノイズは事実上解消され、コンデンサショットガンマイクの鋭い収音効果により軸外音は排除されます。ショートショットガンマイクはカメラに取り付けられるため、ブームのオペレーターを用意する必要がありません。

さらに、一部のモデルではオンボードデジタルフラッシュオーディオ録音機能を備え、サウンドカードに音声を最長10時間録音することが可能になっています。

使用時のポイント:

  • カメラのオペレーターは、極性パターンにより背後からの音をいくらか拾うということを認識しておくこと。
  • ショットガンマイクはボーカルレンジの周波数を拾うには最適ですが、楽器の録音にはあまり適しているとはいえません。
  • 音声に風や隙間風などが入らないようウインドスクリーンを使用すること。屋外では特に効果的な防風措置が必要です。
  • マイクのローカットスイッチを使用して、音声の質を低下させるような低周波数の音をフィルターすること。
  • 使用しているカメラマウント型のショットガン専用にデザインされたショックマウントを使用すること。

Shureオプション:VP83Fカメラマウントショットガンマイクロホン

 

さあ、決断の時

最も典型的なオプションをすべてご紹介したところで、次はあなた自身にお伺いします。

  • マイクを向けるのは何人か?
  • マイクは映ってもいいのか?ブームのオペレーターまたはサウンドのモニタリングをできる人がいるか?
  • 予算は?
  • 1年後、ニーズはどのように変わるだろうか?

あなたが撮影しているDSLRビデオのタイプに最も適したマイクロホンは、あなたの状況によって異なります。Thomas Banksによれば、「無制限の予算でもない限り、何かしらを妥協しなくてはならないのは当然でしょう。」と述べています。企業向け装備は「iPhoneからちょっとアップグレード」したYouTubeプロジェクトとは異なります。嬉しいことに、現在はエントリーレベルからインディーズ映画レベルまでの各ステップに見合うカメラとマイクのソリューションが勢ぞろいしており、選択肢に困ることはありません。

 

さらに詳しい情報はこちら: Shure Audio System Guide for Video and Film Production(英語)をダウンロードしてご覧ください。

なお、上記でご紹介したカメラマウント型マイクロホン、VP83&VP83Fのご紹介ビデオはこちら。カムコーダーやデジタル一眼レフカメラで、高解像度のオーディオを簡単に収音できます。