MU-TON(2018年『UMB』チャンピオン)インタビュー Part 2

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2016年、日本のMCバトルシーンに突如登場し、『UMB』(=ULTIMATE MC BATTLE)福島代表として、初出場ながら本戦にてベスト8にまで勝ち上がり、一気に注目の的となったMU-TON(ムートン)。これまでの活動経歴から、ラップに対する思い、そしてマイクへのこだわりについても伺ってみた。

2016年、日本のMCバトルシーンに突如登場し、『UMB』(=ULTIMATE MC BATTLE)福島代表として、初出場ながら本戦にてベスト8にまで勝ち上がり、一気に注目の的となったMU-TON(ムートン)。2018年末に開催された『UMB GRAND CHAMPIONSHIP 2018』では、三度目の『UMB』挑戦で見事に初優勝を果たし、文字通り、MCバトルシーンの頂点を極めた。その一方、地元福島・白河にて結成したラップグループ、TRI MUG’S CARTELの一員としての活動と並行して、ソロアルバム『RIPCREAM』を昨年(2018年)末にリリースするなど、福島を代表するアーティストとして日本のヒップホップシーンでも知られる存在となっている。これまでの『UMB』優勝者ともまた異なる、独自のリアルなヒップホップ観を持つMU-TONに、これまでの活動経歴から、ラップに対する思い、そしてマイクへのこだわりについても伺ってみた。

インタビューPart1はこちら

 

文・写真 / 大前 至

 


 

–昨年12月にリリースしたアルバム『RIPCREAM』について伺いたいのですが、ソロのファーストアルバムとして、どのような作品にしようと思っていましたか?

去年の春過ぎくらいから、アルバムの話がスタートして、実際に曲を作り始めたのが8月以降くらいで。最初、どういうアルバムにしようとか、あんまり思っていなかったんですよ。すごく軽い気持ちで作り始めて、ちょっと舐めてましたね。けど、作っていくうちに、いろいろと考えさせられて。めちゃくちゃ良い勉強になりました。結果的には、最初のほうは結構黒い系の感じから始まって、後半のほうはエモい系の曲が続いていって。結構、曲の幅の広さっていうか、自分のグルーヴの良い作り方を見せれたんじゃないかなと思います。

–自分の引き出しをいろいろと出せた?

そうですね。けど、逆にアルバムを作り終わったら、もっとこういうのやってみたいっていうのがいろいろと増えてきました。

 

–MCバトルであったり、あとTRI MUG’S CARTELの曲のイメージだとアンダーグラウンドなノリなのばかりなのかと思っていたら、実際、いろいろなスタイルの曲をやっていて驚きました。歌っている曲もあったりして、ああいうのも元々、自分のスタイルとしてあったものなんでしょうか?

本当に直感なので、あんまり深く考えてはいないんですよ。このビートが良いなと思ったら、それに合うのはこれかな?って。それがラップであればラップだし、メロディっぽいのが思い浮かんできたら、それをそのまま入れてるっていう感じで作りました。

 

–どの曲も思い入れはあると思いますけど、中でも今の自分にとって重要な曲はどれでしょうか?

自分的には「Belief」っていう曲が一番、印象に残っていますね。あの曲は、もともとは全く違うリリックだったんですけど、アルバム制作中にトラブってしまって。その問題を解決した後に、もともと書いていたリリックを変えて、ああいう形にしたんで。アルバムを作りながら、リアルタイムに起こったことを反映させているんで、特に印象に残っていますね。

 

–完成したアルバムに関して、満足度はどのくらいでしょうか?

とりあえず、アルバムとしてはめちゃくちゃ好きです。だけど、満足したかっていうと、そうですね……。実は今まで自分が作ったもので、満足した作品って一つも無いんですよ。作っている瞬間は、「めちゃくちゃ良いじゃん!」って思うんですけど、レコーディングした後に、「もっと、こうしておけば良かった」って、どんな作品でも絶対に思っちゃうんですよね。だから、満足した作品っていうのは無いです。

 

–それもまた意外ですね。話を変えて、マイクについての話をしたいのですが、『UMB』の本戦でも使われていたSHUREのSM58(以下、58)というマイクに関しては、どのようなイメージを持っていますか?

ラッパーがリリックの中でも“58”って言っていたりもしますし、自分たちのクラシックっていう感じですね。

 

–ここ1、2年はいろんな地方に呼ばれてライヴをやっていると思いますが、そこで使われているマイクが58だと、気分が上がったりっていうのはありますか?

あ~、ありますね。ただの格好つけなんですけど、余ったコードを首に巻いたり、手でちょっとクルクル巻いたりもしたいんで(笑)。58はワイヤードマイクなんで、そういうことが出来るんですよ。

 

–マイクの持ち方のこだわりとかってありますか?

一応、結構、激しい動きをしていても、歌っている口の位置と、マイクの位置がズレないような持ち方をしているつもりです。あと、握り方に関しては、自分は小指と親指が下で、中3本が上にくるように握っていて。マイクを持ってて、こう握れば自分的にズレないんですよね。

 

 

–『UMB』の優勝を記念した、オリジナルのゴールデンマイクがこちらにありますが、初めて見てみていかがですか?

(マイクを手にして)これが完成版ですか? お~、スゲぇ! 今まで自分のMC名以外に、ロゴまで入れた人っていませんよね? ロゴを入れたのは、レコード会社の担当の方のアイディアなんですけど、多分、今までで一番格好良いんじゃないですか?! これはヤバいですね~。

 

–このマイクは通常の58と同じように使用可能なわけですが、ライヴとかでいかがでしょうか?

大事なライヴの時とかに使いたいですね。アルバムのリリースイベントを、4月末(4月29日)に代官山のSPACE ODDでやるので、その時とかも良いかもしれません。

 

–今後の活動に関してですが、先ほどMCバトルに出るのは名前を売るためという話をしていましたが、昔から憧れていた『UMB』で優勝して、今の自分の中のバトルに対する意欲みたいなものは?

確実に薄れてきていますね。韓国のMCバトルのテレビ番組を観たら、そのバトルは半分が即興で、半分は作ってきてきたもので。その二つを合わせて3分間くらいで披露するみたいな感じでやっていて。そういう形式のバトルであれば、そこで注目を浴びれば、自分が作っているものも混ざっているから、曲のほうも人気が出るじゃないですか。でも、日本ではフリースタイルをいくら頑張ろうと、それ止まりなので。これ以上、バトルに出る意味はあまり無いと思うんですよね。

 

–では、今後は自分のソロであったり、TRI MUG’S CARTELとしての活動が中心となっていくわけでしょうか?

そうですね。TRI MUG’Sでも今、アルバムを作っているんですけど、凄くペースが遅いんで、まだいつ出せるとかは言えないです。ソロとしては、今年はとりあえず4月末にアルバムのリリースパーティがあるので、それをやってから、一年に一本は何かしらリリースしていきたいと思っています。

 

–最後に今後、アーティストとして挑戦していきたいことはありますか?

英語を覚えたいですね。今から英語を覚えるって遅いかもしれませんけど、それでも覚えたいと思っています。ラップを書く時に、日本語だけだとやりたいフロウに限界があるんですよ。日本語では、どうしてもやりたい音の取り方が出来ない時がある。全部、英語でのラップじゃなくても良いんですけど、今は英語の語学力が無いので、少しだけ英語のリリックにするのでも、凄く時間がかかる。だから、英語を覚えて、もっと自分の表現の幅を広げたいですね。

 

【MU-TON “RIPCREAM” RELEASE PARTY 2019.4.29(Mon)】

 

 


【MU-TON】

福島県白河市出身のラッパー。 小峰の城下からの刺客「TRI MUG’S CARTEL」所属。
2016年にMC BATTLE界に彗星の如く現れ、数多くの全国大会で功績を収め、瞬く間に名前が全国区に広まる。”UMB 2018”での優勝は記憶に新しいであろう。
2018年12月に1stアルバム『RIPCREAM』を発表し、独特のグルーヴ感溢れる多彩なフロウと音楽性に富んだ唯一無二なスタイルが高く評価される。週末は全国各地にて精力的なライブ活動を行っており、今後さらなる活躍が期待されるアーティスト。