ジャーナリスト兼ライター 山本 敦 氏 リモート+マイク搭載USB-C対応イヤホンケーブル レビュー (RMCE-USB)

何気なくスマホで聴いていた音楽に命を吹き込んでくれたよう
何気なくスマホで聴いていた音楽に命を吹き込んでくれたよう - RMCE-USB レビュー

スマホで音楽を聴くときにBluetoothワイヤレスイヤホンを選ぶユーザーが増えている。現在のワイヤレス・ブームのきっかけは、2016年秋にアップルが発売したアナログイヤホンジャックを省いたiPhone 7/iPhone 7 Plusが作ったと言われている。日本はiPhoneのユーザー比率がとても多い地域なので、この頃は余計にワイヤレスイヤホンのユーザーが目立ってきたように感じられるのかもしれない。

そして今年の春にはソニーのXperiaまで、ついにアナログイヤホン端子を省くことを決めた。ニュースを知って驚いた方も多いのではないだろうか。2018年夏のモデルとして国内でも発売された「Xperia XZ2」のシリーズ3機種には、いずれもイヤホン端子が見当たらない。同様にAndroid OSを搭載するスマホの中にもファーウェイやHTCの最新機種をはじめ、アナログイヤホン端子を持たないスマホが少しずつ増えてきた。

ではこれからはイヤホン端子の無いスマホでどうやって音楽を聴くことになるのだろうか。いくつかの方法がある。

まずひとつめはスマホの商品パッケージに同梱される、デジタル端子からアナログイヤホンジャックへの変換アダプターを使う方法だ。この場合のメリットは今までに愛用していた有線イヤホンがそのまま使えることだ。反対にデメリットとしてはアダプターを常時持ち歩く手間や、アダプターを紛失する不安もつきまとう。そして、実は最新のiPhone XS/iPhone XS Max/iPhone XRは変換アダプターがパッケージに同梱されなくなってしまったので要注意だ。

ふたつめの方法として、この機会にBluetooth接続のワイヤレスイヤホン、またはワイヤレスヘッドホンに乗り換えてもいいと思う。Bluetoothオーディオの音質や接続性能については、もはや十分に高いレベルにあるからだ。ワイヤレス化によって得られる大きなメリットは快適な装着感だが、反対にデメリットとしては機器の内蔵バッテリーを頻繁に充電したり、使う前にスマホとペアリングする作業が毎度必要になる。ただ最新の機器については各々の使い勝手がとても良くなっているので、いまはBluetooth初心者にもやさしい製品が数多く出そろっている。

でもやはり、有線接続のイヤホンをスマホなどの音楽プレーヤーに直接挿して、すぐに音楽再生が始まる心地よさは捨てがたいと感じる方も多いはず。筆者もその一人だ。アナログイヤホンジャックのないスマホが増えてきた今こそ、第3の有効な選択肢として「デジタル接続の有線イヤホン」を提案したいと思う。

最新のiPhoneにはLightning端子に直接つなげられる「EarPods with Lightning Connector」が同梱されているので、もしかするとデジタル接続のイヤホンそのものはもう多くの方になじみ深いものかもしれない。デジタル接続のイヤホンにはいくつかの特徴がある。ひとつはスマホのUSB端子に直結できるので、機器どうしのペアリングが要らないこと。本体にアンプやDACを内蔵しているので電源を必要とするデバイスだが、直結しているスマホから給電できるし、駆動時の消費電力はとても少ない。音質的にもデジタル接続になることで、アナログ接続に比べてクロストーク干渉が抑えられ、チャンネルセパレーションとステレオイメージの向上が期待できる。

Android OSを搭載するスマホのUSB Type-C端子に直結できるデジタルイヤホンはまだ数少ないが、幅広い音楽ファンに支持されているシュアが発売した「RMCE-USB」は、音質・機能ともにベストな選択肢として推薦できるデジタル・リケーブルだ。イヤホン側の端子にはシュアの「SEシリーズ」と互換性を確保したMMCXコネクタが採用されている。同じMMCXコネクタを搭載するイヤホン・ヘッドホンでも広く使うことができると思うが、購入前に店頭のデモ機などで確認してほしい。

ケーブルのインラインに配置したリモコンの筐体内部には96kHz/24bit対応のDACチップとヘッドホンアンプが内蔵されている。コンパクトなのにとても力強いサウンドが再現できる理由はここにある。屋外での音楽再生は煩わしい騒音との戦いだが、シュアのイヤホン「SEシリーズ」が特長とする高い遮音性能に加えて、力強いサウンドを鳴らせるRMCE-USBとの組み合わせならアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するヘッドホンやイヤホンはもはや不要だ。ハイレゾ対応のDACが載っているので、情報量がとても豊富で、立体的な音楽をディテールまで粒立ちよく描く。もちろんハイレゾ再生に限らず、CDからリッピングしたソースやSpotifyやGoogle Playミュージックなどストリーミング音源を楽しむ時にもクオリティアップの効果を実感できる。

以前に筆者が米国シュアで本機の開発に携わったプロダクトマネジメント・シニアスペシャリストであるトーマス・バンクス氏にインタビューした際、バンクス氏は「AndroidスマホはOSのバージョンやシステム構成が機種ごとに異なる可能性があるので、どのスマホでも使えるデジタルケーブルの開発には様々な苦労があった。USB経由によるデジタル音声信号の入出力の両方に対応することは大きなチャレンジだった」と開発の軌跡を振り返っていた。RMCE-USBの場合はケーブルのインラインにマイクとリモコンユニットを別々の筐体に分けて配置しているので、ハンズフリー通話の音声がクリアに聞こえることも特筆しておきたいポイントだ。

今回はソニーのAndroidスマホ「Xperia XZ2」を用意して、RMCE-USBにシュアのイヤホン「SE535 Special Edition」を装着したセットで音質をチェックしてみた。まずは女性ボーカルから。声の輪郭がはっきりと描かれるようになり、メロディラインの見晴らしがすっきりとする。ボーカリストが歌に込めた感情までが聴こえてくるようで、音楽リスニングに鮮やかな彩りが感じられて楽しい。RMCE-USBに搭載されているパフォーマンスの高いヘッドホンアンプが、いつもは何気なくスマホで聴いていた音楽に命を吹き込んでくれたようだ。

クラシックは大編成のオーケストラによる演奏もスケール感が段違いに大きくなる。RMCE-USBを介して聴く音楽は縦横方向へ無限の広がりを感じさせる。目を閉じるとコンサートホールの情景が浮かび上がってきた。S/Nがとても良好なので、まるでコンサートホールの張り詰めた空気の冷たさまでもが伝わってくるようだ。ピアニッシモの微小な音量で展開する旋律も、SE535 Special Editionの高い遮音性能と相まって粒立ちがとても鮮明で、臨場感あふれる音楽の世界に自然と没入できる。RMCE-USBに搭載されているDACチップの性能がとても優秀なのだろう。やわらかくきめ細かな階調表現力によって、弦楽器の生々しくしっとりとした旋律が耳に心地よく馴染む。金管楽器の艶やかなハイトーンの余韻にも思わずうっとりとしてしまった。

アグレッシブなダンスミュージックのビートは打ち込みが鋭く、深く沈み込む。そして低音のアタックがグンと勢いよく伸びてくる。バンドによる演奏の中央にボーカルが明瞭に定位して、広々としたステージの情景をリアルに描く。ビシッと炸裂するスネアのリズムが何とも小気味良い。余韻がにじむことなく、細かな音の隅々までフォーカスがピタリと合っている。これぞデジタルイヤホンで聴く音楽の醍醐味なのだろう。CDからリッピングしたファイルやSpotifyなど配信系のソースをはじめ、ハイレゾ以外の音源を聴いてみても同じく良い手応えが得られた。この圧倒的に濃い情報量と透明なサウンドはRMCE-USBの実力によるものが大きいということが改めて実感できた。

RMCE-USBはシュアのSEシリーズのイヤホンを持っている方はもちろん、MMCXコネクタを搭載するイヤホンを日ごろ愛用している多くの音楽ファンに、ぜひ一度試してもらいたいアイテムだ。スマホによる音楽リスニングにまた一段と深くのめり込んでしまうことだろう。

USB Type-C端子に直結できるシュアのデジタル・リケーブル「RMCE-USB」にイヤホン「SE535 Special Edition」を装着。ソニーの「Xperia XZ2」に接続するだけで特別な設定も必要なく、すぐに音楽再生や動画コンテンツの音声を快適に楽しむことができる。

iOSデバイスのユーザーにはシュアのイヤホンなど、MMCXコネクタを採用するイヤホン・ヘッドホンを装着してキレの良いデジタル接続によるサウンドが楽しめるようになるシュアのデジタル・リケーブルの兄弟機「RMCE-LTG」をおすすめしたい。最新のiPhone XS MaxなどiPhoneに同梱されているLightning接続のイヤホン「EarPods」と聴き比べてみると、音の“スゴさ”は段違いだ

 

 

山本 敦  (やまもと あつし)
山本 敦 (やまもと あつし)

ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾやAI・IoTに関わるスマートオーディオ、4KやVODまで幅広いカテゴリーに精通する。堪能な英語と仏語を活かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。

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