Shure への期待を裏切らない50ドルのイヤホン SE112
SE112高遮音性イヤホン
バッグやコートのポケット、引き出しの中などに、絡み合ったローエンドのイヤホンに見覚えはありませんか?さまざまなMP3プレーヤーや携帯電話に付属してきたイヤホンは皆、最後にはよく聞こえなくなったまま何ヶ月も放っておかれ、ゴミ箱行きになったりしていることでしょう。
私たちはこういったイヤホンを消耗品と捉えがちです。なくなったり交換したりということがよくあるため、何百ドル以上もかけて高いものを使う理由がないからです。しかしラッパーやヒップホップアーティスト、さらにはなんとモーターヘッドまでの著名アーティストの名を冠したブランドからの「プレミアム」イヤホンやヘッドホンの登場は、(ボブ・ディランの名アルバムのごとく)「時代は変る」ことを示していると言えるでしょう。家電協会(Consumer Electronics Association)では、2012年の間に約7900万個のヘッドホンが販売され、2013年はさらに10%の増加を見せていると概算していますが、実はこの成長率は100ドル以上の製品カテゴリーの伸びを反映していると見られています。
私たちは今、携帯デバイスの時代に生きています。タブレットでドラマの最終回を見たり、友達を待ちながらスマートフォンでミュージックビデオをチェックしたりと、携帯デバイスから得る情報やエンターテインメントの量は増えるばかり。リビングルームのテレビと同じ解像度の高精細ディスプレイも、すでに携帯デバイスの常識。だからこそ、次は音質なのです。
そう、そこでShureの出番です。ただしその前に・・・Shureのイヤホンの歴史を少し振り返ってみましょう。Shureが初のイヤホンを発表したのは10年以上前。ミュージシャンたちがプロフェッショナルインイヤーパーソナルモニターシステムに付属のEシリーズのイヤホンをパーソナルリスニングにも利用していることがわかり、これがきっかけとなりました。当時は、パーソナルリスニングのエントリーレベルのイヤホンはE2(99ドル)でした。以来、この製品ラインは複数のモデルを含め、大衆的とはいえない超プレミアム、チューニング可能なSE846高遮音イヤホン(999ドル)までに拡大しました。
そして今、ShureはSEモデルシリーズに新たなイヤホンSE112(49.95ドル)を登場させたのです。この「バーゲン価格」とも言えるモデル、あるいはあらゆるエントリーレベルのイヤホンに私たちが期待できることはいったい何でしょうか。ぜひ探ってみたいと思います。
プロダクトマネージャーのショーン・サリバンに話を伺いました。
また違うイヤホンのモデル?
シェリル・ジェニソン・ダプロザ SE112は、SE製品ラインでは6番目のモデルですよね。5つでは足りなかったんですか?
ショーン・サリバン SE112は、私たちの製品ラインの中でもっとも安価なイヤホンで、当社が100ドル以下で売り出す初のイヤホンなんです。私たちは長年にわたってイヤホン市場でプレミアムの位置を保ってきた非常に強いブランドであり、もちろん私たちはそれを誇りに思っています。それでも、私たちの品質基準に見合いながらもリーズナブルな製品を作りたいという望みはいつもあったんですよ。当社ではただひとつの製品を作り出すために大量の開発に投資します。イヤホンも例外ではありません。ですから製造にはどうしても費用がかかってしまう、それが課題になりましたね。
シェリル SE112に続くイヤホンはSE215です。この二つの製品の違いは何ですか?
ショーン SE112では、人気のあったイヤホンSE115と同じフォームファクタとテクノロジーを復活させています。 SE115は、数年前に99ドルのSE215を発表した際に生産を終了しています。SE215は、99ドルで発売されている数多くの他社のイヤホンに比べ、同じ価格でハイエンドの機能を持つことで目立つ存在になることに成功しました。目立たない人間工学に基づくデザイン、プレミアム製品とほぼ同様のフィット感と快適さも備え、ケーブルの交換も可能です。
シェリル ケーブルを着脱できるベネフィットは何ですか。
ショーン イヤホンで実際に高額なのは内部の構造部分です。でもケーブルは、いくら気をつけて使ってもいずれは使えなくなってしまう、数メートルの柔軟なコードといっただけのものですからね。これは、イヤホンでもヘッドホンでも、マイクロホンでもギターでも、ケーブルなら皆同じことです。常に曲げられたり巻き取られたりすることで、いつか使えなくなることは避けられませんからね。
シェリル SE112は特定の用途、たとえばパーソナルリスニング用、あるいはそれよりもゲーム用、といった目的でデザインされていますか?
ショーン いいえ。当社のイヤホンはすべてライブパフォーマンスに耐えうる品質基準に合わせてデザインとテストが行われています。つまり、かなり苛酷な環境での使用を想定しているということです。ですから、テストでもそういった環境を再現していますし、インイヤーパーソナルモニターとあわせてステージ上で使用できるレベルでデザインされています。それこそが当社の強みですね。
ケーブルについて
シェリル 低価格帯のイヤホンだと、最終的には一方もしくは両方のチャンネルが使えなくなることがあるようですが、これはケーブルの問題ですか?
ショーン 片方のイヤホンが聞こえなくなったり、何らかの形で音が出なかったりという場合は、電気的(ケーブル/配線)な問題であって、ドライバーの問題ではないのが普通です。ドライバーに問題がある場合はただ聞こえなくなったりはせず、音質に影響が出ますからね。
お客様は私たちの製品に高額な投資をしてくださっているので、そんな弱点を残すようなことはできません。そのため、SE112以外の当社のすべてのイヤホンは、ケーブルを交換できるようにすることで長年にわたってご愛用いただけるようにしているんです。
シェリル SE112のケーブルが着脱式でないのはなぜですか?
ショーン 着脱式機能の製造にはコストがかかるため、SE112を49.95ドルでお客様にご提供するには無理があります。しかしその分、高い遮音性や快適性、Shureの耐久性とすばらしい音質といったパフォーマンスの高さを約束する機能を残すことができました。
シェリル きわめて安価なイヤホンに求めるべきことは何でしょうか?専門家はほとんどが、フィット感、価格、音質、耐久性を考慮すべきという点で合致しているようですが。
ショーンお客様には、その企業がしっかりと製品をバックアップしているか、オーディオ性能にこれまで業績を残しているか、そしてその機能がただのギミックだけではないかどうかを確かめていただきたいですね。
どこでも安価なイヤホンが手に入る今、本当に信頼できるブランドを探すのが逆に難しくなっています。SE112なら、お客様には地盤のしっかりしたShureブランドと、高いパフォーマンス、優れた耐久性が約束されます。
電化製品の世界では何もかもが価格競争のため、DVDプレーヤーであれ、フラットスクリーンTVであれ、そしてたとえイヤホンであっても、そういった信頼感を見極めるのが一番難しいことですよね。信頼できるブランドを見つける、これが一番大事でしょう。
シェリル それこそが、私たちが名もない輸入製品よりもしっかりとしたブランド品を選ぶ理由ですね。
ショーン そのとおりです。
ベースについて
シェリル ギミックについて話が出ましたけれども、ヘッドホンのデザインを手がけるチーフエンジニアのユーリ・シュルマンのギミックに対する意見は承知した上で、あえてお聞きします。SE112にはベースブーストがついていますか?
ショーン いいえ。そのようなブーストは、普通CDプレーヤー、アンプ、サブウーファーなどについてくるものです。SE112は当社のほかのイヤホン/ヘッドホンと変らず、電気的回路を持っていません。ブーストとは低音に何かしらの電気的ゲインを追加するもので、実際に多くの企業によって採用されています。確かにベース音は強くなりますが、実は強めすぎると全体的なトーンバランスが崩れてしまうという問題点があります。
SE112は単一のダイナミックドライバーを使用しているため、ベース音を強めるような形とチューニングにすることも可能ではありましたが、もしそれを行うと代わりに音の明瞭さや微細な部分が影響されてしまったでしょう。イヤホンのチューニングの課題は、すべての周波数スペクトラムにおいて良好なバランスを保つことにあり、ただベースが効いていればいいというものではありません。SE112のサウンドは低音がしっかりしてはいますが、私たちの本来の目標は、バランスの取れたイヤホンを創ることにあったわけです。
フィット、快適さ、遮音性
シェリル この価格帯で発売されるイヤホンの大半はShureの高遮音性イヤホンと似た機能を謳う製品が多いですが、実際に高い遮音効果と良い音質を実現するにはしっかりとフィットすることが大切ですよね。ここで注目すべき点とは何でしょうか?
ショーン SE112のシリコンスリーブは3種類の大きさを用意しているので、幅広いタイプの耳にフィットすることが可能だということですね。リスニングには快適さとしっかりしたフィットが欠かせません。一つのサイズだと、全ての方にフィットさせるのは不可能です。それにSE112のケーブルは耳にかけられるタイプなのも重要ですね。
シェリル ジョギングなどのときに、耳から落ちにくくなっていいですね?
ショーン そのとおりです。他のSEシリーズのイヤホンはケーブルを耳にかけるスタイルを基本としていますが、SE112の場合は耳にかけてもかけなくてもいいようにデザインされています。カジュアルな使用により柔軟に合わせられるようにしているんですよ。
ケアとメンテナンス
シェリル イヤホンを長持ちさせる秘訣は何でしょうか?より良い状態で、あるいはより長く、イヤホンを使い続けられるヒントはありますか?
ショーン それはケアの仕方に尽きるでしょうね。
イヤホンの寿命を長引かせるには、ケーブルをケアすることが大切です。つまり、投げたり、踏んでしまったり、携帯デバイスからはずす際にコードを引っ張ったりしないということです。
使用していないときは、緩く巻いた状態にしておくと良いでしょう。よくデバイスに巻きつける人がいますが、角の部分で曲げられたケーブルはそこからいずれ傷んでしまいます。
私は音を職業とし、ミュージシャンでもありますから、まったく壊れないケーブルがあればそれは嬉しいと思います。でも実際にはそれはありえません。ケーブルが長ければ長いほど、正しく巻いておくことはとても大切です。長いほど、ねじる部分も多いわけですからね。
個人的には、イヤホンケーブルは直径10cm程度に巻いておくようにしています。コネクタにつながる部分と、ケーブルが分かれるY字部分では、なるべくケーブルをまっすぐに伸ばすようにしています。
イヤホンは清潔に保ってください。誰も耳垢やその他の汚れのことを意識したいとは思わないでしょうが、実際その影響は大です。時の経過と共に、ノズルが詰まってしまいます。SE112には、プラスチックで先端にワイヤーループがついたノズルクリーニングツールが付属していますのでぜひご利用ください。
イヤホンは清潔に使用してください!
SE112イヤホンについての詳細は、Shure.co.jpの製品ページをご覧ください。
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