【大学】立命館大学様 | コロナ禍で急きょ迫られた遠隔授業対応 実質工程30日で約600教室の環境を構築 | MOTIV MVi、P300

【大学】立命館大学様 | コロナ禍で急きょ迫られた遠隔授業対応 実質工程30日で約600教室の環境を構築 | MOTIV MVi、P300

はじめに

危機への対応の選択肢が増えただけでなく、攻めの次の一手に繋がる期待が持てました

立命館大学情報システム部情報基盤課課長補佐倉科健吾氏

お客様プロフィール

近代日本を代表する政治家の一人である西園寺公望が1869年に京都御苑の邸内に開設した私塾「立命館」をルーツとし、西園寺の秘書を務めたこともある中川小十郎が1900年に「京都法政学校」を設立したことに始まる立命館学園は、歴史と伝統を誇る私立総合学園の1つです。
現在では立命館大学、立命館アジア太平洋大学の2つの大学のほか、立命館小学校、立命館守山中学校・高等学校、立命館中学校・高等学校、立命館宇治中学校・高等学校、立命館慶祥中学校・高等学校の5つの附属校があります。

立命館大学は関西地域では京都、滋賀、大阪にキャンパスを展開し、35000人の学生、16学部、21研究科を擁しています。大分・別府の丘の上に立地する立命館アジア太平洋大学は2学部、2研究科を擁し、90カ国・地域から2700人の学生が集い、学生の約半数が海外からの留学生という、日本でも最も国際化が進んでいる大学です。

学校法人立命館
事業内容:学校法人
業種:教育
導入場所:立命館大学・立命館アジア太平洋大学の約620教室
URL:http://www.ritsumei.ac.jp/

課題

日本全国から京都、滋賀、大阪に点在するキャンパスに学生が集まる立命館大学。海外約90カ国から学生が集まる立命館アジア太平洋大学。いずれも、日本全国や世界各国・地域から数多くの学生を集めている、多様性豊かなキャンパス環境が立命館の強みでした。

しかし、2020年4月の7都府県に対する緊急事態宣言の発令によって、遠隔地からの下宿生が多い立命館は、その強みが課題となりました。移動が制限され、留学生は入国することすら難しい状況が生まれたからです。そのため、4月と5月は休校せざるを得なくなりました。5月から7月にかけてはオンライン授業を中心に実習科目のみの対面授業を行いましたが、9月の秋学期には対面授業が一部再開し、「対面」と「オンライン」さらには対面+オンラインをリアルタイムで行う「ハイブリッド型」の授業を併用することになりました。

立命館大学は秋学期に向けて、立命館大学と立命館アジア太平洋大学のキャンパスの合計約620教室を、ハイブリッド型授業が滞りなく行えるように環境整備を行いました。目指したのは、「登校できない学生も授業を受けられる環境」を整えること、「キャンパスの雰囲気を届けることができる授業環境」を整えること、の2点です。

立命館大学の3地域のキャンパスと立命館アジア太平洋大学(APU)のキャンパス全部にオンライン授業環境を整備するために必要だったのは、Web会議システムの全学導入、オンデマンド配信システム導入、すべての教室に遠隔講義機能を持たせること、慣れない遠隔授業に対応しなければならない先生方のサポート体制づくり、でした。

遠隔地にいる学生にも対面授業と同等の質の高い教育を提供するためには、学生の授業参加を対面授業と同じようにインタラクティブにする必要がありました。また、突然遠隔授業の実施を迫られた先生方にとって、機械を意識せずに授業に集中してもらえるインターフェースを構築することが求められました。

ソリューション

---目指したのは長時間聴講しても疲れない音環境作り

インタラクティブなハイブリッド授業を円滑に行う環境を実現するためには、約120の大教室へのカメラの設置、音響システムの改造、約500の小教室へのWebスピーカーフォン、音声キャプチャ機器などの設置が必要でした。しかし、既存教室の音響・映像機器整備時期や導入されている機器はまちまちです。その条件のもとで、すべての教室に同じ機能を持たせなければなりません。

1コマ90分という、長い時間授業を受けても疲れない音を実現することが最優先課題の1つとなり、スピーカーから出た音をマイクが拾ってしまうことによって発生するエコーバックや教室周りで発生する様々なノイズなどを抑えることが条件となりました。

また、教室で授業を受けるのと同じような環境を提供するためには、先生の声や、教材の音声をきちんと届けること、遠隔地で授業を受けている学生の声も室内で拡声して伝えること、ライブ感を出すためにリモコンで任意の場所を映せるカメラを設置すること、なども必要でした。

さらに、大学では大教室で行う一般教養科目の授業のほか、少人数で行うゼミや語学の授業、対話や討論を重視する授業、課題をグループワークでこなす授業など、多彩な形態の授業が実施されています。これらすべての授業をどの教室でも行える柔軟性を持たせることも、整備の課題でした。

 

--機能をすべてUSB1本に集約

今回の環境整備を担当した立命館大学の倉科健吾・情報システム部情報基盤課課長補佐が実現したかったのは、「普段行なっているような授業スタイル、教室と受講生が双方向で会話できるようにし、その授業で得られている雰囲気をなるべく伝えていくための環境を構築すること」でした。

大学の大きな教室はホールに近いような機能を持っています。通常であれば、このようなホールでは熟練したプロのエンジニアが複数いて、映像や音声の機器を操作します。「プロがやるようなことを、先生お1人にやっていただくというところを突き詰めていきました」と、倉科氏は言葉を続けます。

そのために、教卓に備えられたUSBケーブル1本を先生が持ち込むPCにつなぐだけでオンライン授業が機能する設計を実現。共通の機能すべてをUSBケーブル1本に、いかに集約できるかが鍵だったと倉科氏は強調します。「授業前の先生は、いろいろな準備をされるので、Web関連の操作は一つでも減らしたい。また、先生が持ち込むパソコンも、Windowsであったり、Macであったり、様々です。それらを接続するだけで、ドライバーなどのソフトをインストールすることなくすぐ使える音声用インターフェースが必要でした」。このような条件を満たす機器が市場に少ないなか、倉科氏が選んだのがSHUREのMOTIV MViデジタル・オーディオ・インターフェースでした。

 

---ニューノーマル下の音響課題を高性能DSPで解決

短期間で整備しなければならない中、マスク越しの声、換気のために窓を開けた時の

環境音の侵入や空調機器のノイズなど、音響的には最悪の「ニューノーマル」状況下での音作りが目の前に立ちはだかりました。これに対して倉科氏のチームはSHUREのP300をはじめとするDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)を導入し、高品質の音声信号処理を施すことで、解決を図りました。

さらに、大人数、少人数、ディスカッションなど多様な使い方、多様な機器への対応と操作ステップの簡略化、新型コロナウイルス感染拡大状況のもと店頭から消えた機器の確保など、課題は山積。

 

---短期間での改修を成功に導いたチームワーク

しかも全教室の環境整備に費やすことができるのは秋学期が始まるまでの夏休み期間、実質工程は30日という短期間です。それを解決するために、既存の音響システムへ割り込み、最低限のシステム変更で対応することにしました。設計パターンは30近くに登ったと言います。さらに工程のパターン化、省線化、シンプル化、現場作業の削減などを行うことで、なんとか乗り切ることができました。

倉科氏は、「同じビジョンを持った、施工事業者、機器納入事業者との緊密な連携があったからこそ、これだけの短期間で教室の整備ができた」と、振り返ります。

結果として、基本的にはUSBを1本繋ぐだけで、教室のマイクの音も、カメラの映像も入ってくるというシンプルな操作性を実現。あとはZoomなりTeamsを利用する際、必要に応じて映像・音声入力デバイスを切り替えれば良いという状態にすることができました。

Web授業中の音の調整を容易にするための専用調整パネルも製作しました。電源を入れ直せば既定値に戻るため、トラブルを少なくすることができます。

「教卓に操作方法をわかりやすく解説したサインを準備しました。先生方に、なるべくデバイスを意識してもらう必要がないように、やりたい行為(例えばマイクの音だけを明瞭に送るのか、フロア発言も集音して送るのかなど)をアイコンを使った図解で表現するなど、使われ方によって選べるように配慮しています。またユニバーサルデザインを意識して日英表記のほか、インターフェース制作に当たっては色覚の違いにも気を配っています」。

さらに、先生の負担軽減のために、教学部職員や学生によるサポートなども準備し、運用面の構築も大学をあげておこないました。サポートメンバーにとってもシステムのわかりやすさが重要でした。

効果

今回の環境整備により、大学にとって、さまざまな社会情勢へ対応できる選択肢が増えたことが最大のメリットで、登校できない学生に、教室からの授業が提供できることは狙い通りだったと倉科氏は振り返ります。

可動型に設計したことで広がりが出た、板書撮影カメラやOHCカメラがことのほか好評だった、教室で配信授業をやりたいという先生のニーズが多かった、先生の授業をサポートするために学生スタッフが活躍した、長年対面でできなかったことがWeb授業で解決できたなどの多くの気づきがあったと倉科氏は振り返ります。

「良い変化としては、Web活用により、授業の双方向性が高まった、グループワークを盛り込みやすくなった、これまで参加できなかった人が参加できる機会が生まれた、先生方やスタッフ間の横の協力関係が生まれたなどです。」

「可動型でシステムを作ったことで授業形態の広がりが出たことや、OHC(書画カメラ)や板書を撮影するカメラが好評で増設の要望ができるなど新しい気づきもあります。さらに、学生スタッフも大活躍してくれるシーンも多いです。ここから、新しい攻めの一歩を踏んでいけるのではないかという感触もあります。」

 

---今後の課題も

一方で、従来からのリアル授業の準備に加え、遠隔授業を受ける学生へのフォロー、機器の操作、機器がトラブルを起こした時の対応など、先生方への負担も増えました。

セッティングの工数を減らす、相手の様子を見ながら授業を進める、冗長性を担保するなどのニーズを満たしながら、「もっと先生の負担を軽減すること、機器を意識せずにコミュニケーションできる環境の構築が課題」だと、倉科氏は今回の導入から得た課題を整理してくれました。

「内部的に複雑なシステムでも、ユーザにとってはシンプルに見えるデザインがいま最も重要。理想的には、テクノロジーは主役ではなく、隠し味のような存在にならないと、使いやすいシステムデザインにならないと考えています。」

  • slide-2
  • slide-2
  • slide-3
  • slide-4
  • slide-5

導入製品

製品名 説明
MVi 545 マイクロホンや楽器ケーブル入力を備えたデジタルオーディオ録音インターフェース
IntelliMix P300 18 シンプルながらも強力なDSPが、高品質、手軽、費用対効果に優れたビデオ会議アプリケーション向け音声を提供。