AXT DIGITALがトニー賞授賞式の生中継でShureのワイヤレスインフラストラクチャーとして登場

2015年6月16日

 

Firehouse Productions社がラジオ・シティー・ミュージック・ホールにおいてUHF-R®およびPSM® 1000を補完する司会者用マイクロホンとしてADXシリーズを追加

米国イリノイ州ナイルズ、2018年7月18日 ― CBSでニューヨークのラジオ・シティー・ミュージック・ホールから生中継された第72回トニー賞授賞式では、歌手のサラ・バレリス(Sara Bareilles)とジョシュ・グローバン(Josh Groban)が司会を務めました。ブロードウェイ最大のショーでの音楽パフォーマンスを演劇ファンが期待するクリアなサウンドで確実に届けるために、ショーの責任者を務めるFirehouse Productions社(ニューヨーク州レッドフック/ネバダ州ラスベガス)のサイモン・ウェルチ(Simon Welch)氏とRFコーディネーターのヴィニー・シニスカル(Vinny Siniscal)氏は、昨年に引き続きShureワイヤレスシステムを選びました。

トニー賞授賞式のワイヤレスを8年連続で担当したシニスカル氏は、司会者用として8チャンネルのAXT DigitalとShowLink®を追加することにより、Shure RFの使用を拡大することにしました。オープニングのデュエットでグローバンとバレリスが使用したのは、KSM9コンデンサーマイクロホンを搭載したADX2ハンドヘルド型送信機でした。また、ラベリアマイクロホン用として、新しいADX1Mマイクロボディーパック型送信機を2人とも装着しました。新しいADX1Mは、超小型サイズ(わずか68 x 60 x 18 mm)、丸みを帯びたフォルム、装着性に優れたマイクロホンコネクター位置、外部アンテナ不要により、衣装への仕込みが従来製品より簡単なため、バックステージではかなり注目を集めました。内蔵のアダプティブ・アンテナ・システムは、独自の機能として、ユーザーの体に装着したときにRF出力を自動調整することができ、ボディーパック型送信機の装着位置に対する大きな不安を解消します。

司会者以外のキャスト用のワイヤレスは主にShure UHF-R®が使用され、トニー賞の多数の部門に対応するには48チャンネルが必要でした。そこで、Firehouse社は所有する32台のUR1Mボディーパック型送信機を総動員したほか、必要に応じてハンドヘルド型を使用しました。パーソナル・モニター・システムはすべてShure PSM® 1000で、合計32台のP10Rダイバーシティ・ボディーパック型受信機に10種類のミックスを送りました。

ヴィニー・シニスカル氏は毎年、ワイヤレス・システム・デザインに改良を加え続けています。今年は、アンテナシステムをステージ、バックステージ、観客エリアという3つのダイバーシティ受信ゾーンに分けました。加えて、Shure ShowLinkシステムとスペクトラムマネージャーを組み込むことにより、干渉の検出と回避をはじめとするAXT Digitalの全機能を完全にリモートモニタリング/コントロールできるようにしました。さらにショーの全体を通して、ShureのWireless Workbench®ソフトウェアによってすべてのShureシステムをモニタリングしました。

シニスカル氏は次のように述べています。「司会の2人には、オープニングナンバーのハンドヘルド型から、その後のラベリア使用時の新しいADXシリーズマイクロボディーパック型まで、すべてAXT Digitalを使用しました。ShowLinkにより、問題があればいつでも送信機のミュート、周波数の変更、さらには出力電力の調整までもリアルタイムに行うことができます。それこそが司会者にAXT Digitalを使用することにこだわった本当の理由です。また、RFおよび音声と共にリンク品質を表示するチャンネルクオリティ・メーターもすごく気に入っています。この3番目のインジケーターのおかげで、データが正常に伝送されていることがわかります。これは、デジタルシステムにおいて把握している必要がある重要な情報です」

特筆すべきは、UHFシステムの運用帯域を608 MHz以下に限定するというシニスカル氏の決断でした。シニスカル氏は次のように説明しています。「FCCオークションの結果、手持ちのUHF機器を減らす方向で調整することが重要になっています。そこで、今年自分が担当するすべてのショーでは、600 MHz帯からの移行後の世界を見据えてコーディネーションを行っています。600 MHz帯の大半は現在も技術的には利用可能ですが、こうした状況は長くは続きません。そのため、現在は1.9 GHzおよび2.4 GHz通信システムを使用しています。その結果、今年はUHFチャンネル数が実際に少し減っています。また、テレビ撮影隊のためのスペースも必要であり、周波数コーディネーションの際はこの点も考慮に入れなければなりません」

ミックスはベテランエンジニアが担当しました。FOHはロン・リーブス(Ron Reaves)氏、放送用ミックスはトム・ホルムズ(Tom Holmes)氏、そしてモニターのミックスはマイケル・ボヴェ(Michael Bove)氏でした。ワイヤレスでは、シーセ・ヨナセン(Sisse Jonassen)氏がシニスカル氏のアシスタントを務め、A2と連携してパフォーマー全員に割り当てたチャンネルで適切にマイキングしました。

「まさに共同作業でした。ワイヤレス・コマンド・センターはステージ右側に設け、そこにすべての受信機、混合器、分配器、モニタリング用のコンピューターを設置しました。RFアシスタントのシーセは、実際のステージを全体的なRFシステムデザインに沿って確実に進めるために、ステージ左側で私の目となり耳となってくれました。そのおかげで、私は音声のモニタリングとクリーンな周波数の確保に集中することができました。これは、すべてを確実に計画通りに進める上で重要な要素でした」(シニスカル氏)

AXT Digital送信機を司会者に使用したことにより、シニスカル氏がAXT Digitalの今後の役割増大を予想する根拠である利点が裏付けられました。シニスカル氏は次のように指摘します。「新しいADX1Mマイクロボディーパック型送信機が一際注目を集めていたのは確かですが、AXT Digitalにはそのほかにもさまざまな機能があり、その活用は始まったばかりです。RFシステムデザイナーおよびRFコーディネーターとして、私はチャンネル数という面で効率的である点が非常に気に入っています。また、干渉の検出と回避機能のおかげで、以前よりはるかに自信を持ってショーに臨むことができます。AXT Digitalはこれまでに何度か使用しましたが、まさにこの業界にうってつけの高度に進化したテクノロジーであり、難しい仕事もずっと楽にしてくれます。革新的な製品だと断言できます」

ニューヨーク市のラジオ・シティー・ミュージック・ホールで開催された第72回トニー賞授賞式のステージでパフォーマンスを披露するジョシュ・グローバンとサラ・バレリス(写真:Kevin Mazur/Getty Images for Tony Awards Productions)